s/story4

□ジョルジェット
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ロザリーとベルナール.シャトレは小さな馬車を
奮発してベルサイユの郊外、ジャルジェ家に

向かうところだった・・・

「ばあやさん・・・」

アンドレの祖母は服毒自殺らしきことをしたが

一命をとりとめ、存命だと、これも風の便りで

知り得たことだった。

「画家のアルマンさんが助けたの。あの方が

 訪ねて来なきゃばあやさん、死んでたの。

 奥様はばあやさんを特にたよりにしてて」

「その画家が描いた肖像画だろう?」

「たぶん。オスカルさまが近衛隊に

 入ってすぐのものみたいでね」

こんな会話をしてる間に屋敷が近づいて来た。

ロザリーは万感胸に迫る思いでジャルジェ家を

見つめた。宮殿と思って入り込んだ先に

ジャルジェ家夫人を見つけ、短刀で

切り付けた。オスカルに簡単に取り押さえられ

そこでロザリーの第二の人生が始まったのだ。

憎いポリニャック・・・・実の母なのに

全く愛情も湧かない女。それに比べて

ジャルジェ夫人はあたしなんかにも優しくしてくれたわ・・・

間違えたとはいえあんな狼藉を

働いたのに。夫もアンドレにした仕打ちから

考えたら・・・ああ、なんだか分からなくなっ

てきちゃった。ロザリーは少し大きくなったお

腹を擦った。

「具合が悪いのか?ロザリー」

ベルナールはこの屋敷の夜の様子しか知らない

「静かだな・・・将軍は亡命しなかったのか」

<オスカル.フランソワの実家として中らず、
 
 騒がずの立場か・・バスティーユ襲撃の直後 
 は王家から将軍職を解任されたらしいな>

「貴族がどうのという時代ではないからな。

 でも世話をするものはいるのだろ」

すこし荒れて埃っぽい気がしたが邸はさほど

盗賊や暴徒に襲われてはいないことが救いだ。

「誰も出てこないわ・・・閂を外して

 裏門から入るしかないかしら」

「そういうことはお任せあれ!鍵や閂など

 ものともせず、入れるぜ」

ロザリーは呆れつつ、新聞社の仕事を放り

自分の我がままのために付いてきた夫に

感謝した。このお屋敷にまた来ることが、

ジャルジェ夫人にどうしても会いたかった。

「オスカルさまは二度とここには戻らないと

 覚悟を決めていたのだと思う」

「そうだろうか・・・王の軍隊はもう

 機能してないようなもんだった。外国人の

 傭兵になんでもやらせてたんだ。

 フランス衛兵がこちらに付くのは時間の

 問題だった。近衛は役立たずで・・」

ベルナールのいつもの講釈を聞くのが辛いとき

ロザリーは鼻歌を歌う。その声を聴いて

誰かが裏の玄関から出てきた。

小さな丸い菓子のような人物だ。

「ロ・・・ロザリーじゃないの!!!」


<<間違い表記が多いので編集しました>
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