s/story3

□アラスの熱い夜
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領地のアラスから帰ったその晩、

ジャルジェから思いっ切り頬を張られた・・・

激昂する父の怒りの理由が「あのこと」

でないことがオスカルには幸いだった。

謹慎を命じたアントワネット様のお立場を

慮ってのことである、外国から幼くして

嫁いで間もない、味方の少ない王太子妃で

あった。父の言葉は容赦ない。

「そんな事も分からんのか!オスカル」

確かにそうだった・・王妃となったが

宮廷には彼女を陥れようとする勢力が存在する。

父に詫びを入れ領地の

現状を話した。が・・・ここでも

またもやもやが・・・父の権威主義と

貴族的思考の前でオスカルは折れるしかない。

分かりました・・・自室に下がって酒でも

アンドレに持ってこさせようと思った。

<アンドレ・・・・>

レニエに叩かれた頬が熱くなった。

もうだいぶ時間が経つのに。

彼と・・・アラスに行き、宿の1室で

眠った。あの夜に・・・

そう・・・アンドレが私を・・・

父に対しての憤りが収まらないオスカルは

<何が貴族だ、くだらない>

別のこと、いいこと、楽しいことを

考えたかった。アンドレとのあの夜を・・・

以後、回想です。

アラスの定宿に着いた二人は食事をし、

別々に部屋をとっていた。が・・・

ある泊り客の行商人の一行に親子連れが

いた。彼らが馬小屋に泊まるしかないことを

知り、宿やの親父にオスカルが提案したのだ

「彼らを私の泊まる部屋に入れてやって」

慌てたのはアンドレだった。

「おい・・おい・・おれが馬やに行くよ・・」

「わたしたちは一緒の部屋でいい、アンドレ
 行くぞ」

「すみません、雨は降って来るし、お客
 を断れなかったもんで・・へえ・・
 ほんとにいいんですか?」

部屋は一つの寝台と椅子があるだけで

アンドレは床に寝ると言い。

布団もないもんだからほし草を持って

来てもらいその上に敷物を引いた。

「雨露、しのげればいいさ」

そういったがアンドレは少し風邪気味だった。

「アンドレ、熱があるんじゃないか?」

「いや、大丈夫だよ・・」

「そうか・・寒いなら言ってくれ」

オスカルは目を閉じ、床にいるアンドレが

軽い咳をしていることを案じた。

「こっちのベットに入ればいい・・」

「え?」

「寒いだろう?一緒に眠ればいい」

「いいのか?」

「子どもの時みたいにな」

オスカルは何もわかっちゃいない

アンドレはそう思ったけど彼女の布団に

入った・・・さあ、どうしようか・・
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