s/story

□赤い髪の女
1ページ/3ページ

店の中に入ってきた赤い髪の女は旅行鞄(馬車に載せる箱)の大きさについて職工兼店のあるじに
質問をしていた。
アンドレは彼女の着ている軍服のような衣装に目がいってしまい店を出る機会を失った。

彼女の声を聴き、「ああ、やはり女性なんだ」

男装の女性といつも一緒なのでアンドレは見間違えるような野暮な男でもなかった。

「お若い従者さん?貴方のお屋敷でも旅に出る方がいらっしゃるのね」

「ええ、女性が旅に出るのは支度が大変なのですね」

赤い髪の女は少しシニカルなほほ笑みを返した。

彼の女主人の口元に似ている気がした。

「ほんとに!街を歩くのだって大変。
わたしはパリに来たらスカートを穿かないもの。小さなトランクがあればいいの」

パリの道路事情はとてつもなく悲惨だ。汚水が・・周知の事実なんで省きます

「船旅もあるから荷物は最低限。わたしは
イドリス.エルヴァ。イギリスからの旅人、
よろしく・・・従者さん」

いきなり名乗られてアンドレは自分も名まえを
言わなくてはいけないような気がした。

というより<若い従者さん>などと
呼ばれることがちょっと嫌だったからだ。

「アンドレ.グランディエです」

赤い髪の旅人との出会いはアンドレに
何をもたらすのであろう。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ