マイナー

□結局ラブラブ
1ページ/2ページ


「阿部ってオレのこと好きじゃないでしょ。」



いつもより低く冷たい声に驚いて、オレは読んでいた雑誌を閉じ水谷の方に視線を向けた。



案の定水谷はオレを睨んでいる。



今までに見たことのない冷たい表情で。



特にその目は凄く冷めきっていて、オレは身震いをした。



「何でそんなこと、」



「それか好きじゃなくなった?」



オレの言葉を遮って、水谷は静かに言った。



「んなわけねぇだろ!?」



オレは水谷を睨み返す。



「じゃあさ、何で最近恋人らしい事してくれないの?」



「は、」



思わぬ言葉に間の抜けた声が出る。



つーか昨日"アレ"ヤったばっかじゃねぇか。



それ以上何しろっていうんだ?



「……阿部ってヤってる時以外オレに触れてこないよね。」



いつの間にか水谷は眉をハの字にして泣きそうな顔になっていた。



「そーだっけ?」



「え、ちょっ酷っ!自覚なし?」



水谷は目に涙を浮かべて言ってくる。



「まあ」



「…自覚あるよりいっか。それはそれでショックだし。」



「何で?」



「だって、自覚ありで触ってこないってことは触りたくないってことでしょ!?」



必死に言ってくる水谷を、オレは冷静に見つめていた。



「いや、そーとは限んないだろ。恥ずかしくて触れないとかあるんじゃねーの?」



「!もしかして阿部、恥ずかしいからオレに触れないの!?」



「は、んなわけねぇだろ。オレ自覚なかったって言っただろ?」



「……そーだけど!やっぱり寂しいよ」



矛盾してんだろ、それ。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ