マイナー
□痴話喧嘩
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「阿部!お前いい加減にしろよ」
部活終了後、部室で着替えていると泉がいきなり怒り出した。
…あいつらまた喧嘩でもしたのか?
「何?」
怒鳴られた本人である阿部はぽかんとした顔をしながら泉を見つめている。
あ、また泉だけ怒ってるパターンか
阿部が鈍感なせいでさりげなく寄ってくる男共に(オレもその内の1人だが)泉は牽制やら嫉妬やらして大変そうだ。
いつもの事か
そう思い思わず苦笑いする。
「お前は自覚足らなすぎんだよ!いい加減気づけ!」
「はぁ?意味解んねぇ」
阿部はほんとに思い当たることがないのか、眉間に皺を寄せる。
…まあ、これもいつもの事か
「オレ昨日何て言ったか覚えてるよな?」
「あぁ。無防備なとこ見せんな、だろ?」
「正解。…んで?阿部、その格好は何だ」
泉は阿部を指差し問いかけた。
「え、着替えてるだけだろ」
「そんなの関係ねぇよ。他の奴らに肌晒すな」
「「はぁ!?」」
阿部とオレ含む野球部員一同は思わず声を揃えて泉を見た。
「な、何だよお前ら」
それに驚いたのか、泉は戸惑った様子でオレらを見回す。
「泉嫉妬深すぎでしょ〜」
水谷はいつもの間延びした喋り方で泉に話しかけた。
「たしかに。着替える時ぐらいしょうがないだろ」
巣山は苦笑いして最もな意見を述べた。
「泉!阿部が困ってるだろ」
優しいことを言いながらいつもの笑顔をしてはいるがどこか安心できない栄口。