色々

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「先輩」



部長の声で放課後の部活が終わると 私は手に持っていた竹刀をカランと床に乱雑に置き
首筋に流れる汗を右手で拭った



はぁと息を吐いて 後ろにまとめて結っていた髪をするり左手でほどくと
汗が髪をつたい 床に落ちる



「何?」



私は部活が終わるや否や すぐに ててて、と駆け寄ってきた一年の後輩
沖田をじろりと睨んだ



沖田はもじもじしながら 私をじぃと見て 上目遣いをしている



その表情は まぁ 可愛いといえば可愛いが いろんな意味で怖い。



全部を見通しそうなぐらい 大きな瞳 すっと通った鼻筋に きれいなハニーブラウンの髪
まるでどこかの童話の王子様に出てきそうな 要はかなりの美形。



…目の保養だ



われながら オバちゃんのような発想
しかしその反面 何だかイヤーな感じだ



何というか 沖田はいつも部活では取り巻きの女の子が絶えないし
誰からも好かれていて 周りにはいつも人だかり
そんなまるで王子様のような顔とは裏腹に いつも何を考えているか分からないし
掴み所が無くて 行動に予想がつかない



まぁそんなワケで どうにも私はコイツが苦手なのだ




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