色々

□桂と逃亡生活 02
1ページ/4ページ



「桂さん」



「何だ」



カタカタと ぼろっちい穴だらけの障子がゆれる音がする



外は凍てつくような空気 真冬の星空 オリオンの星座が輝き 星が降っている



ふふ 我ながら素晴らしい表現ってそうじゃない。



私たちは今 そんな幻想的とも言える空の下 いや
幻想的かつ命に関わるほど寒い空の下を
この薄っぺらい毛布一枚だけで
今まさに乗り切ろうとしているところだった



というのも 私たちは今流行の…



ん?流行ってんのか?



まぁ攘夷浪士というものでして それは警察に追われる運命にある



そんなわけで 今私は逃亡生活中 つまり安定した家がないのだ



というか 家を見つけてもすぐに真選組に見つけられて あっというまに引っ越すハメになる
なぜか分かんないけど。



まぁおそらくは 私の相棒…なのだろうか
その桂さんが真選組にあとをつけられてるせいなんだけど



ったくさー ちょっとは危機感もって欲しいもんですよ



なんてそんなことを考える暇も 今の私たちにはないワケで。



がちがちと唇が震えて もうまともに話すこともできない



横にいる桂さんの体温かすかにはあったかいけれども
それもこんな薄い毛布のせいで全く意味がない。
すぐに熱が逃げていってしまうのだ



今のナレーションも 読者のための必死の試みなワケです 本当は死にそうです 寒くて



というか 今はそんなロマンチックな空気に浸る余裕もない



これは本当おふざけなんかじゃなくて
本気で死んでしまうかもしれない最高に危険な状態
これを乗り切れなければ 私たちはあっけなく死んでしまうような気がする



特に桂さんに関しては ホント うさぎみたいにか弱い小動物みたいに縮こまっているし



かくいう私も もう何が何だか分からなくなってきている



ここは日本か はたまた南極か



アレ?待てよ 南極ってあったかいんだっけ?え だって南国って暑いじゃん
待てよ そもそも南極は寒いところなのか? でも南国は暑いんだよね…って



「あァァァァァァァァ!! ヤバイですって桂さんんん!! 思考が停止寸前です
私もう何だかワケわかんなくなってきました」



「お 落ち着け 誰しもみんな 変になることはある」



「いやいや アンタはもとから変だろ アンタと一緒にしないで下さいよ」



そんなノリツッコミさえも もう後半は気弱な感じに終わってしまう



あぁ これヤバイよ 私の唯一のツッコミさえ…



.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ