色々

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「うわぁ」


睫毛長いなぁ すっごい。土方くんて本当よく見たらイケメンだ 今まで気づかなかったけど


私は教科書で顔を隠しながら 物珍しそうにそこで机に机に突っ伏して居眠りしている土方くんを見る


すうすと寝息を立てるその黒髪が 不意に窓から入ってきた柔らかい風に揺れる
睫毛が陽に透けて 細長い指が小さくそれに反応する


…なって見るもんだな隣 なんかちょっと得した気分だ


調子にのってそろりと手を差し伸べてみると その少し猫背気味な背中はそれにくすぐったそうに「うぅん」と反応する


小さく寝がえりをうって また懲りずにすうすうと寝息を立てると その綺麗な顔に少ししわがよせられて 私は思わずしまった、と顔をしかめた


「触んなよ くすぐってェ」
「ごめんごめん つい手がでちゃいました」


舌をぺロリとだして 無理に可愛い子ぶりっこしてみる


土方くんは呆れたように私を睨むと 睡眠を邪魔するなとばかりにもぞもぞと体をよじって自分のベストポジションを確認、満足げにふぅとため息をついて またすやすやと眠りにつく


そのその姿はがまるで猫みたいで 私は思わず吹き出さずにはいられないわけで。


「何笑ってんだよ」
「かわいー土方くん」
「うるせェ」


うるせェって言うその声まで まるで私を夢中にさせる一種の核兵器
自分では無意識なのかもしれないのけどね その声 本当無理だから


「…おーい土方くーん起きないと先生に怒られるんじゃないですか」
「…」
「む 無視すんなコノヤロー 聞こえてんでしょ」



教科書ごしの土方君は 今日もノート書いてる途中でそれに飽きたのか 机に机に突っ伏して居眠りしている


んー窓際の席は眠くなるよねェしゃーないしゃーない 分かるよその気持ち
でも駄目だよ土方君 私、授業に集中できない だって土方君顔こっち向いてる 顔綺麗すぎて本当集中できない どうしてくれんの成積さがるよ


「…へへ 」


なんかさ 女の私より綺麗な顔してるよこの人 妬けるねーいい匂いするよ なんか消臭剤みたいな、


…ちょっとだけ触ってもいいかな、髪の毛 なんかさっらさらでものすごい気持ちよさそう いいじゃんね寝てるし あ 駄目? 変態ちっくですか、


なんて思う私は 今日も隣の席の土方くんを教科書ごしにこっそり見る


最早日課になってしまったこれ いやさ 誰も見てないんだからいいでしょちょっと位


「…土方くーん」
「っさい」
「起きてんじゃん 無視しないでベイビー」
「うざいそのテンション」
「うざいとはなんだうざいとは! 怒られるって言ってんのにさ」


土方くんは前々から本当に無愛想
女になんて興味まったくありませんみたいな顔していっつもすまし顔


おまけにクールで近寄りがたいみたいな雰囲気出てて声なんて一切かけれそうにない


けれども私は、そんな土方くんが前から好きすぎて仕方ないのだ
いや なんでとか そういうのはあんまり自分でもよく分からない
けど 気づいたらいつでも目で追ってる私がいるのだ 自分でも嫌んなるくらいに


「代わりにノート 取っといて」
「え あ うん」


普段の私なら そんなめんどうな事は絶対にやんない


そんなの知るか!自分でやりやがれバカヤローなんて言ってノートほりちらかしてやるのに


…こんのヤロー 私がアンタを好きなのをいいことに、


「なぁ、」
「ん? 何?」


振り返る土方くんの匂いが風にのって鼻を掠め 私は一瞬本気でなんだか思考回路ぶっとびそうになる


ちょっ駄目だよコレ もう末期症状じゃん! どうしてくれんのさ!受験もままならないよコンチクショー


「お前の顔 こっからだと丸見え」
「は?」
「ずっと俺の事見てんだろ」


ニヤニヤしやがって、と土方くん


恥ずかしくてかかかーと顔を赤らめる私は 思わず見てないしっ!と教科書で顔を覆う


それを見た土方くんは 意地悪くははっと鼻にかけたように笑うと 不意にこちらに手をのばした


「俺も見てるけど」
「な なにがっ」
「寝たふりしてお前の事」


いっつも顔あけェぞ?お前、なんて言って 私の髪を右手で撫でる土方くんの顔は ほんのり赤くて それでいて意地悪だった







(反則、…私の特等席からしか見えないよ?それ。)





企画/隣には君様に提出
素敵な企画に参加させていただいてありがとうございます!



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