Sweet.06

□ベイビー、君は僕のもの
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いつもこんなふうに、マイペースで自分勝手なかなちゃんだけど……こんな性格で、見た目はかなりかっこいい。

すらっと高い身長に、ワックスで無造作に流した黒髪。

目は大きすぎず小さすぎず切れ長で、鼻筋が通った美形。

しかも大学院に通っているだけあって、頭だってすごくいいのだ。

頭脳はともかく、そんなイケメンが赤いスポーツカーに乗って颯爽と現れたら、校門前は女の子たちの黄色い歓声にわき上がり、ケータイカメラのシャッター音があちこちから聞こえてくる。

……まあこれは、つい2週間ほど前にわたしが実際に体験した話なんだけど。


そしてそれを自覚しているのかいないのか、かなちゃんはいつだって、わたしにやさしい笑顔を向ける。

そんなわけで、見た目も中身も平凡なわたしが嫉妬や羨望の視線を一身に受けてしまうことになるのだ。



「わたしの送迎なんてわざわざしなくていいから。かなちゃんは、自分の学校の時間まで優雅にくつろいでなよ」

「うん、でも、このままだと月乃遅刻じゃね?」

「へ? 何言ってるのよ、まだ全然余裕な時間じゃない」



玄関に置いてある、お母さんの趣味のアンティーク時計を見ながら、わたしは言った。

うん。やっぱり、まだまだ全然余裕。

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