短編
□君にはかないません。
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「………遅い」
俺は今自分の部屋にいる。
そう、仕事が終わったら冬獅郎の部屋に行くね!!と言った俺のかっ、彼女の名無しさんを待っているのだ。
「何でこんなにおせぇーんだよ!はっ!!もしかして名無しさんに何かあったのか!?」
(こうしちゃいられない!!)
ひとりで思い込みに走り、名無しさんを探しに行こうと自室の部屋のドアに手を掛けたそのとき…
『冬獅郎お待たせ〜』
彼がドアを開ける前にドアが開いて捜そうと思っていた彼女が目の前にいた。
「名無しさん!?おまっ、えっ!?だっ、大丈夫か?!」
『へっ?何が?』
「いや、ほらその、遅かったから…」
『うんゴメンね仕事長引いちゃって…それよりなんで部屋出ようとしてたの?』
「いやだから、あー…えーとその……」
(まさか早とちりして捜しに行こうとしたなんて恥ずかしくていえねー…)
「しょ、小便しに行くとこ」
『部屋の中にトイレついてるのに?』
「う゛っ…」
(こういう時だけ鋭いんだよなコイツ…)
『ねぇ、ホントはなにしに行こうとしてたの?ねぇってば』
「な、なんでもねぇーよ!!」
顔が赤くなるのがイヤでもわかる。最悪だ。
『ふーん、じゃあもういいや!言ってくれないなら帰る!!』
ふん!とそっぽを向いて部屋から出ようとする名無しさん
「おっ、おい待てよ!!話すから行くなよ!!」
『………ホントに?』
「あぁ、ちゃんと話すから!」
『よし聞かせて!!』
(こっコイツ切り替えが早い!やられた、コイツ確信犯だ!!)
『ほら早く話してよ!』
「おまえが危ない目にあってるかもって早とちりして捜しに行こうとした………」
『何?聞こえないよ?』
(コイツ顔がにやけてやがる!ゼッテェー聞こえてたろ!!)
『ほら早く!』
「おまえが危ない目にあってるかもって早とちりして捜しに行こうとしてたんだよ!!!」
『クスクス、そんなに大声で言わなくても…』
どうやら笑いが止まらないらしい
「なっ!お前が言えっつたんだろ!!」
『確かに言ったけどそこまで真剣に…アハハハハ!!』
「っ〜、笑うんじゃねぇ!!」
『ご、ゴメンゴメン。ありがとう心配してくれて』
「//////」
顔を真っ赤にしてそっぽを向いてしまった。
『もしかして、照れてる?
かわいいなぁー冬獅郎は』
「照れてねぇーし、かわいくもねぇーよ!!」
『じゃあ私は、かわいい?』
「っ、………////」
『ねぇ〜私はかわいい?』
下を向いて真っ赤だった顔を更に赤くしている冬獅郎。
ホントにかわいい!
でもなにも言わなくなっちゃった。いじめすぎたかな?
「メチャクチャかわいいよ…………」
『へっ?何?』
「お前はメチャクチャかわいいよ!!」
さすがの私もこれにはビックリ…
「だからお前が心配になるんだよ」
『ふふふ、ありがとう冬獅郎!!』
君にはかないません。
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