long

□Drying heaven
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繁華街の奥の古いホテル。いかにもそれだけが目的の薄汚れた部屋は、女を連れ込むなら絶対使わないな、と天井を見上げながらユチョンは淀んだ意識の底で思う。体の奥を解すユノの指に、次第に荒くなる呼吸の下、呟いた。
「兄貴っ…もう、いいから…」
「ユチョン…」
ユノの声も湿っている。視線を合わせようとしないので表情は伺えないが、指が引き抜かれ熱を押し当てられた。ぐいっ、と捩じ込まれる感覚。
「いっ…早く、動けって」「…」
一つ息をつき、ユノが動き始める。激しく押し込むように、と思えばゆっくりと中を探るように。その度に繋がった部分から卑猥な音が聞こえ、ユチョンを鼓膜から狂わせる。こんなふうに煽るな。アンタはただ、オレに突っ込んで果てればいいんだろ?
「あぁ、はっ!…兄、貴…そこっ…」
「ん…」
感じる部分をぐいぐいと刺激され、体が震えた。汗の滲むユノの肩を掴んで何度も首を振る。
「あ、ん!…もうっ、…」「イケよ…」
耳元で囁かれ、緩く噛まれるともう堪らなかった。熱を放った途端、指が滑ってシーツに落ちる。脱力したユチョンの髪を掴んで強く抱き込み、ユノも達する。「はっ…ユチョン…」
荒い息が肌を伝う。力の入らない腕で、ユチョンはユノの胸を押した。
「イったんならさっさとどけよ。…重いんだよ、兄貴」
「…あぁ」
ユノが離れて行く。満たされていた部分に空虚な寂しさを感じ、それを知られたくなくてユチョンはベッドにうつ伏せた。白い背に、ユノがそっと指を滑らせる。その感触は優しかったがユチョンは冷たく言った。「早く帰れよ。…オレ、少し休んでくから」
「…そうだな」
小さく呟き、ベッドを降りるユノ。服を拾い、身支度を整える気配。
「…風邪ひくぞ。そのままだと」
ドアが閉まる前、聞こえた声。ユチョンは答えない。ユノの気配が完全に消え、ようやくユチョンは起き上がった。
「だから…オレを人間扱いすんな」
呟いて、ベッドの脇の灰皿を引き寄せる。床に落ちた服からタバコを取り出し、火を点けた。
深く煙を吸い込み、むせる。しばらくごほごほとやっているうち、涙が目蓋を割った。
「はっ…」
唇を歪め、ユチョンは弱く涙を拭う。
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