long

□Drying heaven
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捩れた想い。時々それに潰されそうになるのに、この関係を切ることができない。
誘ったのは自分。だが、それは半ば脅迫だった。

(…兄貴って、ゲイだろ)

半年ほど前。
夜、珍しく二人きりで飲んでいて。酔いを滲ませなからぽつりと呟くと、ユノの顔から血の気が引いた。

(な、…なんだよ、いきなり。オレにはちゃんと彼女が、)

(前は、ね。でも長続きしないじゃん。逆に男のダチは滅茶苦茶大事にしてるくせに。…ねぇ)

すっ、と顔を寄せた。蒼白な顔のユノの耳に、呪文のように囁きかける。

(あの人達でヌいたりしたんだろ?…兄貴、風呂長いもんなぁ)

(ふざけっ…)

勢いづくユノの唇を、塞いだ。触れた瞬間、離れようとするのを腕を掴んで止める。強い力ではない。突き飛ばすのは簡単なのに、ユノはそうしなかった。体重をかけて彼を床に沈め、もう一度深く口付ける。

(っ、ユチョン…!)

短く叫んだユノが、逆にユチョンを組み伏せた。

それが、始まり。以来、忙しい合間を縫って時折ユノと体を重ねている。誰にも知られないように、神経を尖らせて。





…韓国ではもう許されている独立した生活も、日本ではまだ認められない。ホテルを出て、一人で宿舎のマンションに戻ったユチョンは、キッチンから聞こえる物音に気付いて覗き込んだ。カウンター式のテーブルで、チャンミンが夜食らしきものを掻き込んでいる。傍でつまらなそうにグラスを傾けていたジェジュンが、ユチョンに気付いて笑った。
「お帰り」
「ただいま。相変わらず良く食うな、ウチの末っ子」からかっても、チャンミンは平然と。
「運動したらお腹空いて」ぶはっ、とグラスの中身を吹くジェジュン。ユチョンも肩を揺らして、
「兄貴、お疲れ〜」
「バカ!…ったく、余計なこと言うな!」
頭を小突かれても、チャンミンは平気な顔だ。全く、と内心ユチョンはため息を吐く。この末っ子には、恐れとか躊躇いってものはないのだろうか。惚れた相手がメンバーで、男同士。なのに怯むことも隠すこともなく気持ちをぶつけ、やがてジェジュンの体も心も手に入れてしまった。
「…ま、幸せで結構だね。じゃぁお休み」
二人に手を振り、ユチョンは自室に向かった。
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