long

□Drying heaven
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自室について、ドアに手をかけ並んだ隣の部屋を見つめた。…ユノの部屋。
もう、眠ってるかな。
…ねぇさっきのこと、少しは夢にでも見てくれる?
バカ、と呟いて、部屋に入る。
ユノが自分を抱くのは、単純な性欲処理だ。

(…女じゃ駄目なんだ、オレは)

初めて抱き合ったとき、ユノが呟いた言葉。辛そうに顔を歪めユチョンにすがりついて。

(嫌なのに…オレは、…こんなの…)

自分より逞しい体に腕を回し、こう言うしかなかった。

(…溜まったときは、オレが付き合ってやるよ。オレはあんまりそういうの、考えないから…)

顔を上げたユノに至近距離から見つめられ、鼓動が早くなることを気付かれないか心配になる。だが、彼はやはり苦しそうに眉を寄せて呟くだけだった。

(…ごめん…)

抱き寄せられ、ユノの匂いに酔いながら目を閉じた。…アンタは本当のバカだよ。服を脱ぎ、ベッドに入りながら壁の向こうに呟く。オレがアンタを愛してるって、言ったらどんな顔するんだろうね?






翌日から、五人揃っての取材ラッシュ。リリース前はいつもこうだが、年を追って取材の数が増えることにはげんなりする。…でも、完璧主義のリーダー様は違うんだね。どんな取材でも真面目に答えて。今も、好みの女性のタイプなんて、何万回聞かれたかわからない質問に嫌な顔一つしないで答えてる。
「そうですね。…料理の上手な人、かな?」
はい、模範回答。ユチョンが呆れていると、ユノがふと視線を向けた。
「…それと、色が白くて…肌の綺麗な人に惹かれます」
あら、と取材をしていた記者が笑う。だがユチョンはそれどころではない。
こっちを見てなぜそれを言う!と睨み付けると、ユノの目が細くなる。
普段は厳しい表情でいることが多いせいか、その子供のような顔がユチョンは結構好きだった。苛々と視線を外し、記者の質問に集中する。
ユノの瞳が寂しげに揺れたことなど、気付くことなく。
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