long

□ash
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そもそも、休みではない筈だった。だがたまたま重なった偶然の積み重ねと、しばらくまとまった休暇が取れていなかったことが幸いして飛び込んできたオフ。



「…楽しそうだね〜」
これから実家に帰るとユノが告げると、ユチョンは早速口を尖らせそう言った。ユノの足を軽く蹴り、
「どうせ一泊しかできないんだし、こっちでオレと遊んでようぜっ」
「あのなぁ。オレにも付き合いってもんがあるの」
偶然電話をかけてきた幼馴染みに、もう帰ると連絡してしまっていた。
「大体、オレ達二人で居たって、どこも行けないんだし…」
一人でも大抵の場所で人混みができてしまうのに、自分とユチョンが二人で居たら騒ぎになることは必至だ。それがわかってて拗ねるユチョンを、可愛いとは思うがここは譲れない。
しばらく、ソファーに転がったままユノを見上げていたものの、気持ちは変わらなそうだと悟ったのかユチョンは起き上がって。
「…じゃあオレは一人寂しく曲でも作ってよ…」
帰り支度を始める。上着に袖を通しながら、横目でユノを睨んで。
「…浮気すんなよ?」
「…するかっ」
どうして実家に帰って友達と会う、という行動に、浮気という単語が出て来るのか。呆れながら、車の鍵を掴んでユノも一緒に部屋を出た。
戸締まりをして、歩き出そうとしたとき。
ぐいっ、と腕を引かれ、掠めるようなキスをされる。

「っ…」

真っ昼間、しかも自分の部屋の前の廊下という場所に言葉を無くすユノに、ユチョンがにやりと笑って。

「…愛してる、ユノ。早く帰って来いよ?」

耳元で囁かれ、またユノが固まるのを見て。
あははーっ!と高笑いしてユチョンは帰って行った。



最初の日は、メールが何通か届いた。内容は特になく、着いた?、とか、飲みすぎんなよ、とか。

(のんびりしようと思ったけど、明日は客が来るってさ。我慢できなくなったらユノの家に避難するから)


愛想は良いくせに人見知りのユチョンを思って、ユノは小さく笑った。

(好きにしろ。夕方には帰るから)

そう、返信した。


それが、最後のやりとりになるとは思わずに。


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