long

□ash
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翌日、予定より少し遅くなってソウルのマンションに戻ったユノは、部屋にユチョンがいないことに首を傾げた。
そう言えば、今日は電話もメールも来なかった…。
今頃気付くのもどうかと思うが、何しろ向こうにいる間はやたらと人に会っていたから。携帯を取り出し、ユチョンの番号を呼び出す。しばらく待ったが、応答はなかった。時間はまだそう遅くないし、食事でもしてるのかな。諦め、電話を切ってメールを作る。

(今、帰ってきたから)

我ながらつまらないメールだと思うが、他に書くことも思い付かない。それに、今更ユチョンがこれくらいで呆れることもないだろう、と送信する。携帯をテーブルに置いて、ユノは伸びをしながら浴室に向かった。

…メールの返事は、来なかった。



翌朝、迎えに来た事務所スタッフの車に乗り込むと、チャンミンが眠そうな目を擦っていた。
「おはようございます」
「おはよ。ジェジュンは?」
「兄は入りが早いので…僕も起こされたんですけど、二度寝しちゃって」
欠伸を噛み殺し、チャンミンは小さくすみません、と謝った。
しばらく、走った後で。
「…あの…ユチョン、別になにもないよな?」
ぎこちない言葉に、チャンミンが軽く眉を上げた。
「ユチョン兄ですか?…僕は休みの間、特に連絡してないですけど」
それはそうだ。二日、と言っても正味一日半もない。仕事で毎日顔を会わせているのに、そんな短い時間に連絡を取らなければならないことなど起きる筈はないから。曖昧に頷いて目を逸らすユノに、チャンミンが妙に優しい顔で笑って。
「…ケンカですか?」
「…」
視線に精一杯兄としての威厳を込めて睨むと、生意気な末っ子は笑みはそのままに肩を竦めてみせる。
その仕草に、深刻さは感じられなかった。ユノ自身も、そう思っていたのに。



到着したスタジオで顔を合わせたユチョンは、ユノの視線を避けるように目を逸らした。

漠然とした不安が、確信に変わった瞬間だった。


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