葵の書物

□七龍神族
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一番苦しめられ
一番愛されていた少女




名を麗螺(らいら)





私は家族に従うしか生きられない
親に怒られてばかり。何もしてなくても、親は私を叱る
いやだった…何度死にたいと思ったか
そんな親から守ってくれたのは姉の霧伊(むい)だった。優しくて、怒られる私を助けてくれた…。嬉しかった…私のことを思ってくれる人がいるから生きられるんだ。そう思わせてくれる
私は姉が大好きだった…





でも…それも私が7歳になって…
姉の霧伊は私の部屋に突然来て、私に銃を向けた。どこで手に入れたのかわからないその銃を、なぜ姉は持っていたのだろう
なぜ、私に向けているのだろう…
「ごめんね」
一言そう言うと、銃を両手で持ち、引き金をひこうとしていた
私は目を見開いて見ているしかなくて…





―バンッ





銃声が部屋の中で鳴り響いた
撃たれたのは私ではなかった
死んだのは私ではなかった
姉の霧伊が床に血を流しながら倒れていた
そして、その横に息を切らしながら私の方を見て微笑んでいる母親の姿
殺したのは母親だった
「やっぱり、霧伊の方が狂い始めていたのね…」
狂い…始めていた?どういうこと?
(それは…お前ばかりを怒っていた母と父に愛されなくなったからだ…)
「えっ?」
声がする方に振り向くと、茶色の龍がいて、私を見ていた
「大丈夫?」
母親は気付いていないようで、私に近付き、心配なのか声をかけた
あのお母さんが私を心配してる??
.
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