イナズマ

□言えない
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「鬼道さん、好きです〜。」

そう言っては佐久間はしょっちゅう抱きついてくる。
なんとなく、犬が懐いて来ているみたいな感じで可愛いから頭を撫でたりしてかまってしまう。
頭撫でると喜ぶし。

「鬼道さん。鬼道さんは俺のこと好きですか〜?」

と、聞いてくるので、まあ、嫌いではないし、と、言うよりは可愛いからむしろ好きだ。
だから

「ああ、好きだ。」

と、答えてやる。
すると、なんともいえないほど幸せそうな表情をして佐久間は笑うのだ。
その笑顔が好きで、ついつい余計に佐久間をかまいたくなってしまうのだ。

「鬼道さん、ね、今週末、俺の家に泊まりませんか?・・・・・・しく、します、から。」

と、照れくさそうに言う佐久間。
最後のほうが聞き取れなかったが、まあ、いいか。
佐久間と一緒にいるのは好きだしな。
なので俺は

「いいぞ。土曜日でいいのか?何時ぐらいだ?」

と、聞いた。
すると、佐久間は

「め、迷惑じゃないなら、金曜日の放課後からがいいです。その、鬼道さんといっぱい、一緒に過ごしたいから。」

と、頬を赤くしながら言った。
泊まるぐらいで、そんなに照れくさそうにするって、なんか、可愛いな。
そう思いながら俺は佐久間の頭を撫でて

「なら、金曜日、そのままお前の家に行くよ。それでいいか?」

と、言った。
嬉しそうに笑ってうなずく佐久間。
なんと言うか、こんなにもこいつに好かれるのは嬉しいものがある。
何せ、佐久間は基本的に他者を寄せ付けないからな。
いつも、俺がいないと1人でいるし。
というか、なぜ、佐久間が俺にだけこんなに懐いてくるのか未だに理由がわからない。
ある日、突然、佐久間の方が

「と、友達から、でいいので、その、一緒に、い、いさせてくだ、さい。」

とか、言い出してきたんだよな。
まあ、断る理由もないし、最初見たときも小動物のように怯えてて可愛いなって思ったから

「別にいいぞ。」

と、答えたんだ。
で、それからなんだかんだで話が合うんでつるんでるんだよな。
まあ、可愛いし楽しいからいいけど。
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