イナズマ

□永遠の償い
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小さい頃、とても仲の良かった親友から、俺は方目を奪った。
俺が無茶をして、その俺を庇ったせいで、片目を失った。
その親友に俺は一生償いをし続けると誓った。
ずっと、死ぬまで償うと誓った。






「鬼道さん。」

と、言って駆け寄ってくる佐久間。
ぎゅっと抱きつかれる。
今日も佐久間は変わらない。
いつものように元気で、若干うざい。

「明日、俺の家に遊びに来ませんか?」

と、聞いてくる佐久間。
明日は確か、前々から辺見達と出かける約束をしていたはず。
そして、佐久間にも伝えたはず。
きっと、忘れてしまっているのだろう。
でも、俺は佐久間の誘いを断れない。佐久間には俺しかいないから。
俺のせいで、友達がいないから。
だから、明日の約束はキャンセルすることにして

「何時に行けばいい?」

と、聞いた。
すると、佐久間は嬉しそうに

「じゃあ、10時ごろ。で、お昼ご飯、一緒に食べましょう。」

と、言った。
俺は

「分かった。10時に行くよ。」

と、言ってから、こっそりとメールで明日の約束をキャンセルする事を伝えた。
けれど、俺はその事をとても後悔することになる。
そして、この日を最後に俺は、佐久間の笑顔を見れなくなってしまう。






約束どおり佐久間の家に行き、佐久間と二人で遊んだ。
でも、何故か、佐久間は楽しそうにしていないのだ。いつもなら、楽しそうなのに。
何かあったのかなと思っていると、佐久間が

「お腹空いたし、お昼にしましょう。」

と、言いだして、聞くチャンスを逃してしまった。
仕方なくそのままお昼をご馳走になって、また、佐久間と遊ぶつもりだったのに、急に目まいがして、俺は倒れてしまった。
疲れていたのか?
そんな事を思っていると佐久間が寝室のベッドへ俺を運び、寝かせてくれた。

「鬼道さん・・・・・・。」

と、消えてしまいそうなほどか細い声で佐久間は俺を呼んだ。
どうしたんだ?
そう声をかけてやろうとしたら、佐久間の唇が、俺の唇に重ねられた。
訳が分からなくなった。
何を、しているんだ?

「ずっと、我慢してたけど、もう・・・・・・。鬼道さん、償い、してくださいよ。この目の償いを。」

償い・・・・・・。
佐久間、俺は何をすればいい?
今度は、何を俺は捨てればいい?
お前が望む限りの事を俺はしたけど、やっぱり、足りなかったんだな。
部活をしたくても、お前が辞めて欲しいと言ったから辞めた。
あいつが嫌いだから、あいつと関わらないでいて欲しいと言ったから、かなりの人数の友達を俺は捨てた。
佐久間以外と遊びに行く約束をしていても、佐久間が遊びたいと言い出したらちゃんと佐久間の方と遊んだ。
誰かに告白されても、佐久間が嫌がるから全部断った。
たくさん、色んな物を捨てた。
それでも、やっぱり、不十分だよな。

「俺と、セックス、して。俺が許す気になるまで、ずっと、ずっと・・・・・・。してくれますよね?償うって、約束したから、してくれますよね?」

セックス?
男同士なのに?
佐久間が許してくれるまで、ずっと・・・・・・。
ちょっとだけ躊躇ってしまう。
そんな事を要求されるなんて夢にも思ってみないことだったから。
それでも、俺は償いを続けなくてはいけないから

「分かった。セックス、しよう。」

と、答えた。
でも、佐久間は笑ってくれない。
佐久間が望んだ事を受け入れた時は、いつだって笑ってくれたのに、今度は笑ってくれない。
なぜ?
したら、笑ってくれるだろうか?

「ええ、しましょう。」

と、言う佐久間の表情はとても悲しそうだった。
早く、笑顔になって欲しい。
佐久間に笑って欲しい。
いつもみたいに笑って欲しい。
佐久間の笑顔が好きだから、笑って欲しい。

「鬼道さん・・・・・・。」

また、か細い声で俺を呼ぶ佐久間。
どうしてイイか分からなくて、戸惑ってしまう。
何か、答えてあげるべきなのに言葉が見つからない。
そんな中で佐久間は俺の服をすべて脱がせてしまう。そして、自分自身も服をすべて脱いだ。
そっと、佐久間が俺の身体に触れる。
くすぐったい。
そんな触れられ方をした。

「綺麗、ですね。どこもかしこも綺麗で、傷1つない。醜い俺とは大違いですね。」

そう言って、眼帯で覆い隠してある目を片手で押さえる佐久間。
綺麗だったのに、俺が傷つけて醜くしてしまった。
あんなにも綺麗だったのに、俺のせいで・・・・・・。
それを思い出すだけで、胸が張り裂けてしまいそうだった。

「でも、これが邪魔で、綺麗な部分が隅々まで見えませんね。剃っちゃいましょうか?」

と、言って俺の陰毛に触れてくる佐久間。
俺は

「佐久間が、そうしたいなら、してもいいから。」

と、答える事しかできなかった。
佐久間が望むとおりにしたら、笑ってくれると信じているから。
なのに、佐久間は笑ってくれない。
ただ、悲しそうな表情のままで

「じゃあ、剃毛しましょう。全部、綺麗に剃りましょう。」

と、言いながら、剃毛する準備を始めた。
そして、丁寧に剃毛していく佐久間を見続けた。
何を思っているのだろうか?
佐久間の望むとおりにしているのに、なぜ、笑ってくれないのだろうか?
理由が分からなかった。

「綺麗ですね、鬼道さん。・・・・・・俺が、止めてもいいと言うまでは、ちゃんと剃毛し続けてくださいね。」

と、言われたから素直に頷いた。
でも、やっぱり佐久間は笑ってくれない。
笑って欲しいのに・・・・・・。
そう思っていると佐久間が変な物を持って来た。
ジェルっぽいけど、何に使うのだろうか?
疑問に思っていると、指でそれをすくいとり、その指を俺の尻穴に挿し入れてきた。
冷たくて、ぬるりとした感触が気持ち悪かった。

「な、に・・・・・・?」

なんで、そんなところに指を入れてくるのか分からなくて、佐久間を見つめる。
汚くないんだろうか?
てか、痛い。
変な感じがして、凄く嫌だった。
でも、佐久間のする事を俺は拒めなくて、大人しくじっとしている事しかできない。
そんな俺に佐久間は

「セックスではここを使うんですよ。鬼道さんだけ、ね。」

と、言った。
俺だけ、そこを使う?
そうか、セックスだから、佐久間が挿れないといけないんだよな。
でも、俺が男だから、そこしか挿れる場所ないから、そんなところを使うんだ。
じゃあ、きっと、凄く、痛いだろうな。
指1本ですごく痛いから、ペニスとか入ったら、もっと、もっと、痛いよな。
嫌、だな。
痛いの、苦手だから。
でも、あの時、怪我をした時、佐久間は凄く痛い思いをしたし、当然の報い、だな。
大人しく、受け入れよう。

「泣いたって、止めませんから。」

「・・・・・・分かってる。して、続けて。償いだから、ちゃんと、全部受け入れる。」

「・・・・・・。」

なにも言ってくれなくなる佐久間。
指の数を増やされて、苦しい。
涙が、何故かあふれて止まらない。
セックス、最後までしたら、笑ってくれるだろうか?
いつもみたいに笑ってくれるだろうか?
笑って欲しい。
早く、佐久間に笑って欲しい。

「鬼道さん、俺のチンポ弄って、気持ち良くさせてください。こんな状態だと、挿れれませんから。」

と、言われたから、俺は恐る恐る佐久間のペニスに触れた。
熱い。
けど、硬くなってない。
セックスする時って確か、勃起させないといけないんだよな。
それをしないといけないけど、俺、触ったことないし、出来るのだろうか?
そう思っていると

「オナニーしてるのと同じ要領で触ってください。」

と、佐久間に言われた。
俺が手を動かそうとしなかったせいだろう。
とりあえず、手を動かしてみるが、要領がよく分からない。
今まで、オナニーとかした事、無かったから。
性的欲求を感じた事無かったし。
それで、戸惑いながら触っていると、ちょっとずつ佐久間のペニスが硬くなり始めた。
感じてくれているんだ。
一応、出来てるってことだよな?
そんな事を思いつつ触れ続け、ちゃんと硬くなるまで手を動かした。

「もう、良いですよ。」

と、佐久間が言ったので手を離した。
佐久間のを触ることに夢中になっている間に、気づけば指は3本も入っていた。
それが引き抜かれる。
それからすぐに膝を折り曲げさせられ、大きく脚を開かされた。
そこまでは、順調だった。
なのに、勃起した佐久間のペニスを目の当たりにした瞬間、怖くなった。
凄く、大きくて、挿れたりしたら、尻穴が裂けてしまいそうだった。
怖くて、身体が震えて、目をつぶった。
佐久間のペニスの先端部分が尻穴に当たる。

「佐久間、怖い。」

と、言うと佐久間は

「目を開けてよく見ててくださいよ。それも、償いの1つですよ。」

と、言って取りあってはくれなかったし、安心したくなるような言葉一つくれなかった。
怖いから目をそ向けたいのに、それを佐久間は許してくれない。
俺は、半泣きになりながら、目を開け、佐久間のペニスが入り込んでくるのを見た。
ゆっくりと、先端部分が入り込む。
それぐらいのささやかな繋げ方で終わって欲しいけど、それは叶わぬ願いだ。

「怖い、よ。佐久間、怖い。怖い。」

と、うわ言のように呟く。
すると、佐久間は

「壊死しかけていた目を手術する時、俺は、もっと、怖い思いをしました。」

と、言った。
何も言えなくなる。
手術で目をえぐり出すような事をするのだ。
それは、凄く怖かっただろう。
しかも、あの頃佐久間はまだ、8歳だったのだ。
それは、想像もつかない恐怖だっただろう。
それに比べれば、きっと、佐久間のペニスを入れられるぐらい、大したことではないのだ。
それでも、俺は怖かった。
俺にとっては想像もできない事をしようとしているのだから。
でも、佐久間に

「まだ、怖いですか?」

と、聞かれたら、首を横に振るしかない。
佐久間の味わった恐怖と比べる価値すらない恐怖だから。

「じゃあ、挿れてくださいって、言ってくださいよ。佐久間のチンポ挿れてくださいって、言って、俺に聞かせてくださいよ。」

俺から佐久間を求めないといけないらしい。
比べる価値すらない恐怖で俺は半泣きになったんだから、それぐらいの事を強要されても仕方ない。
俺は、震える声で

「い、挿れて、ください。佐久間のチンポを、挿れてくだ、さい。」

と、言った。
その瞬間、息がつまった。
勢い良く、佐久間のペニスが身体の奥へと入り込んで来たのだ。
苦しい、よ。
佐久間、呼吸できなくなりそうなぐらい苦しくて、痛い。
助けて・・・・・・。
佐久間、助けて。

「助け・・・・・・て。佐久間。」

そう言って、手を伸ばすとその手を佐久間は掴んでくれた。
助けて、くれる?
佐久間、助けてくれるんだよな?

「助けてあげますよ。・・・・・・こうする事が気持ち良くて仕方ないと思えるようにして。」

そう言って佐久間は、ゆっくりと抜き差しを始めた。
奥に入り込んでくる度に、苦しいと感じた。
助けて、くれない。
そう、だよな。
助けてなんて、くれないよな。
これは、償い、なんだから。
佐久間・・・・・・。

「鬼道さん。快楽を覚えることでしか、救われないんだから、覚えてください。こうすることで得られる快楽を。」

快楽?
こうすることで、快楽なんて、得られるのか?
苦しくて、辛くて、怖くて、痛くて仕方ないこの行為で快楽なんて。
そう思っていたら、急に変な感じがした。
佐久間のペニスが俺の中にある何かに当たった。それだけで、気持ちイイ、快楽を感じた。
なに?
今のは、一体・・・・・・。
分からず、戸惑っていると、また、気持ち良くなった。

「ここ、でしょ?鬼道さんの前立腺。」

と、言う佐久間。
前立腺?
知らない。
なに?
佐久間、なんなんだよ。
アぁ、ヤダ。気持ちイイ。そこばっかり、気持ちイイよ。
そんな、いっぱい突かないで。気持ち良すぎて、おかしくなる。
絶え間なく前立腺と呼ばれる場所を佐久間に突かれた。気づけば、俺は腰をふって、佐久間にもっと、されたがっていた。
気持ち良くて、激しい動きが良くて、気づけば

「あぁ、あぅ、もっと、激しく。」

と、口走っていた。
その度に佐久間の動くリズムが早くなっていく。
媚を売っているような甘えた声で、俺は佐久間を求めている。
気持ち良くて、堪らないから。
これが救い?
これに慣れてしまう事が・・・・・・。
分からない。
でも、気持ち良くて、たくさんしたくなった。
償いのはずなのに、気づけば俺は、こうされる事を喜んでいた。
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