イナズマ

□永遠の償い
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目が覚めたら、身体がすごくだるかった。
起き上がろうとすると、腰に激痛が走った。
下半身に凄く違和感があった。
何故か一瞬分からなかったが、すぐに思い出した。
俺は、佐久間とセックスしたのだ。
佐久間に償いをするために。
そう言えば、結局、佐久間は一度も笑顔になってくれなかった。
佐久間の望んだとおりにしたのに。
そう言えば、身体の中に射精されたけど、どうすればいいのだろうか?
分からなかった。
セックスなんてした事無かったから。
普通のセックスじゃない事をしたから。
これから、どれだけ俺は佐久間とあんな風にセックスすることになるのだろう?
償うために、一体どれだけ・・・・・・。
分からない。
佐久間がなにを思っているのか。
なぜ、俺とセックスなんかしたいと思ったんだろう?
俺が拒めないから、だろうか?
やっぱり、普通に恋をして、好きな相手とセックスをするなんて事が佐久間は望めない状態だから、だから、俺としたんだろうか?
まあ、それしかない、よな。
分かってる。
仕方ないと分かってるはずなのに、何故か、胸の奥が苦しくなった。
あんな事さえなければ、佐久間はきっと誰からでも愛されていたはずだ。
眼帯で片目を隠し続ける必要もなかったのだ。
顔の傷にコンプレックスを抱くこともなかった。
全部、俺のせいなんだ。
分かってる。
分かってるはずなのに、辛かった。
悲しくて苦しかった。
一生かけても償えない事なのだと分かってる。
だから、一生、償いを続けるつもりだ。
その事に、こうして、初めて苦しさを感じたとしても、それだけは変わらない。






鬼道さん。
俺の愛しい、鬼道さん。
ずっと、ずっと我慢していた。
あなたを抱く事を。
一生償うと言って、俺の傍にひたすら居てくれるあなたを俺は愛しています。
報われない愛なのに、止められない。
それでも、あなたと笑っていたいから、今まで我慢していた。
だけど、あの日あなたは俺を置いて、辺見達と遊びに行った。
ずっと、俺の事を最優先にしてくれていたのに。
償うという言葉は嘘だったんですか?
あなたの為に俺は片目を失ったのに。
許せなくて、どうしても許せなくて、止められなくなった。
必死に我慢していた思いを止められなくて、俺は、あなたの抱いている罪悪感を利用して、あなたを犯してしまった。
怯えるあなたに酷い事を言って、無理矢理犯しまくった。
助けを求めているあなたを助けてあげる事が俺は出来ない。
きっと、二人で笑いあう日は、もう来ない。
戻れないから。
後戻りできないから。
鬼道さん。
あの時あなたは誓ってくれた。
一生償い続けると。
だから、一生償い続けてください。
俺に犯され続け、償ってください。
そうでなければ、俺は、あまりにも不幸過ぎる人生を送るだろうから。






お風呂場で、身体を綺麗にさせられた。
指を挿し込まれ、中に出された精液をかき出された。
気持ち悪い。
中に入り込んで動かされる指の感触が。
セックスする度にこんな思いをしなくてはいけないのだろうか?
そう思うと、凄く、悲しかった。
そして、佐久間がまったくと言っていいほど笑ってくれなくなった。
何を言っても適当な相づちしか返って来ない。
どうして、笑ってくれなくなったのだろう?
分からなくて、それが辛かった。
笑顔の佐久間が見たいのに、いつも笑顔でいてくれたのに、そんな佐久間が見れないから。






毎日毎日佐久間とセックスをした。
時間が許す限り、ただひたすらにセックスばかりした。
でも、佐久間は笑ってくれない。
どれだけ言うとおりにしても、佐久間は笑ってくれない。
嫌なことも全部受け入れたのに、笑ってくれないのだ。
笑顔が見たい。
写真とかじゃなくて、目の前でちゃんと佐久間に笑って欲しい。
大好きな佐久間の笑顔を見たい。
どうすれば、見られるのだろう?
分からなくて、佐久間が遠くへ行ってしまった気がした。
遠い。
身体を繋げても、触れ合っていても、佐久間が遠い。







今日は木曜日。
佐久間の誕生日。
お祝いしてあげないと。
ちゃんと前々からプレゼントを用意していたんだ。
佐久間の為に、少しでいいから喜んでくれるものをと思い、辺見達と買いに行った。
喜んでくれるだろうか?
ちょっと、微妙かも。
いや、大丈夫、だよな。
今まで、佐久間が喜ばなかった事なんてなかったんだから。
いつだって、佐久間は喜んでくれたから。






「佐久間、誕生日おめでとう。」

そう言われて、今日が誕生日であった事を思い出した。
鬼道さんだけがお祝いしてくれる。
こんな風に顔が醜くなってからは鬼道さん以外祝ってくれなくなった。
まあ、元々、家族なんているようでいないものだったから、家族に祝ってもらった記憶はないけど。

「誕生日プレゼント、ちゃんと用意してるんだ。」

そう言ってほほ笑む鬼道さん。
なんか、久しぶりに鬼道さんの微笑む表情を見た気がする。
俺とセックスするようになってから、悲しそうだったり、辛そうだったり、無理に笑顔だったりと、そんな表情しか見ていなかったから、凄く、久しぶりだ。
しかし、いつの間に誕生日プレゼントなんて用意したのだろう?
ここ最近は時間が許す限りセックスばかりしていたと言うのに。
不思議に思って聞くと

「しばらく前に、辺見達と買い物へ行った時に一緒に選んだんだ。」

と、言った。
その瞬間、俺は開けかけていた箱を思いっきり床に向かって投げ捨てた。
けれど、鬼道さんがそれを慌ててキャッチしたので、プレゼントは壊れなかった。
鬼道さんが一人で選んでくれたものじゃないならいらない。
他の誰かが関与しているものなんていらない。
そんなもの、ゴミだ。
だから、壊そうとしたのに、鬼道さんがそれを大事そうに抱きかかえて、うずくまって、かばうから壊せない。
いらないのに。
仕方ない。
後で、壊して、ゴミ箱に捨てよう。
鬼道さんが疲れきって眠っている間にしそうしてしまおう。
そう思って、俺は鬼道さんの腕を掴み、無理矢理鬼道さんをベッドへと連れて行った。
箱は床に置き去りになる。

「佐久間、なんで・・・・・・。」

泣きながらそう聞いてくる鬼道さん。
でも、俺は何も答えず、鬼道さんの服を全てはぎ取る。
脱がすのが面倒で、かなり力ずくだったから、服が破けてしまった。
まあ、いいか。
後で弁償すれば。
とりあえず、鬼道さんのアナルに潤滑剤を流し入れ、指で中を解した。
イライラしてるから、ちょっと雑で荒々しくなったけど、セックスに慣れてしまった鬼道さんは気持ちよさそうにしていた。
そんな鬼道さんから指を抜いて、代わりにチンポを挿し込んだ。
嬉しそうな声で鳴く鬼道さん。
挿れただけでイってしまった。
腹の辺りに飛び散った精液を身体に塗り込んであげると嬉しそうにした。
淫乱だな。
毎日セックスをしていたせいだろうか?
まあ、鬼道さんが淫乱でも良いか。その方が、きっと、苦しまないでいいだろうから。
抱かれる事が好きなら、永遠にセックスをして償う事も苦痛ではないだろうから。
そんな事を思いながら俺は、腰を激しく打ち付けて、何度も鬼道さんをイかせた。
可愛い声でたくさん泣かせながら、何度も何度もイかせてあげた。






やり終わった後、俺はすやすやと眠る鬼道さんにそっと口づけた。
誕生日プレゼントは、今のキスで良い事にしておこう。
さっき、怖し損ねたプレゼントを壊さないとな。
そう思って起き上がり、床に置き去りにされていた箱を手に取った。
鬼道さんが1人で選んでくれた物ならどんな物でもよかったのに。
そんな事を思った。
そして、思いっきり箱を投げようとしたけど、なんとなく、中身が気になって覗いてしまった。
見た瞬間に俺は、泣いた。
鬼道さんがくれたものを見て、泣かずにはいられなかった。
ガラス細工の置物。俺と鬼道さんが手を繋いでいるその置物を見て、泣いた。
ずっと一緒にいようと言葉が彫り込まれていて、それで、余計に泣いてしまった。
俺が酷い事をする前の、鬼道さんの気持ちが溢れ出ているこんなにも素敵なものを俺は、壊そうとしてしまった。
ゴミだと、価値がないと、壊そうとしてしまった。
なんて、バカな事をしたんだろうな。
まあ、でも、壊れてなくてよかった。これが無傷でよかった。
俺は、そっとプレゼントを箱にしまい直し、壊れないように、机の引出しにしまった。
そして、鬼道さんの眠るベッドへ戻り、疲れきっている鬼道さんを抱き締めた。
心の中で何度も謝る。
ごめんなさい、鬼道さん。
ごめんなさい。鬼道さんの心が溢れているプレゼントを壊そうとして、ごめんなさい。
鬼道さん、ごめんなさい。
ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。






悲しくて、胸が張り裂けてしまうかと思った。
せっかく、佐久間の為に選んだプレゼントだったのに、佐久間はそれを床にたたきつけて壊そうとした。
中身を見ようともせずに壊そうとした。
中を見て、気に入らなくて壊そうとされたなら、こんなにも悲しくはなかった。
だけど、佐久間は壊そうとした。中身をみる事なく壊そうとした。
やっぱり、俺が憎いのだろう。
佐久間からたくさんの物を奪った俺が憎くて仕方ないんだ。
だから、きっと、俺に復讐しているんだ。
凄く、正当な復讐を。
でも、それでも悲しい。
あんな事があった後でも、今までと変わらずに親友でいてくれたと、信じていたから、悲しくて仕方ない。
佐久間、どうしたら、許してくれるんだ?
どうしたら、俺は、お前に償えるんだ?
佐久間、どうしたらお前への心は救われるんだ?
佐久間、教えてくれ。
お前の心が少しでも救われるなら、俺はどんな事でもするから。






目を覚ますと佐久間が俺の隣で眠っていた。
ああ、そうだ、佐久間が受け取ってくれなかったプレゼント、回収しないと。
そう思って起き上がったのに、どこにも見当たらなかった。
なんでないんだ?
まさか、もう、捨てられたんだろうか?壊されてしまったのだろうか?
佐久間、なんで・・・・・・。
そう思っていると、

「鬼道さん。もうちょっと、しますよ。ほら、ベッドに戻りましょう。」

と、佐久間に言われ、後ろから抱き締められた。
俺はそんな佐久間に

「佐久間、あれ、どこに置いたんだ?」

と、聞いてみた。
すると佐久間は

「ああ、あんなものとっくの昔に捨てましたよ。鬼道さんが寝ている間にね。」

と、言った。
やっぱり、捨ててしまったんだな。
その事が、凄く悲しくて、涙が止まらなくなった。
けれど、佐久間は何も言ってくれない。
無言で俺をベッドへ連れて行き、何の前置きもないまま身体を繋げて来た。
身体を繋げる事に馴染み始めている身体は、痛みを感じる事はなく、逆に気持ちいいと感じた。

「佐久間・・・・・・。あぁ、ん。佐久間。」

何度も佐久間を呼んで、手を伸ばしてみる。
でも、その手を佐久間は取ってはくれない。
鬱陶しそうに押さえつけるだけ。
佐久間、もう、二度と俺の手を取ってはくれないのか?
俺の償いが終わるまで、手を取ってはくれないのか?
佐久間、辛い。佐久間に嫌われている事が辛い。
辛いんだ、佐久間・・・・・・。
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