帝人受け


□報われない
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「帝人君て正臣君の事が好き何だねぇ、ああ そんな世界が終わったみたいな顔で見ないでよ、心配しなくても俺は同性だとかそんな事気にしないし正臣君に言ったりもしないからって今度は恨みがましい目で睨まないでさ只俺はその事実を帝人君に確認したかっただけだからって言っても帝人君のその反応的に俺の予想は大当たりって事でいいかな」

「……分かって聞いてるでしょう」



学校帰りに臨也さんに会って
嗚呼今日は良い事ないな、何て思ってたら急にペラペラ喋り出すから何かと思って聞いてれば
この人の口からは 人の気分を最悪にする言葉しか喋れないのかな



「勿論分かって聞いてるよ、
いやあ帝人君が正臣君の事を好き何て事実を知ったらこれは二人の仲を邪魔しない分けにはいかないね!
もっとも、正臣君は帝人君の事親友としか見てないみたいだけどね
あ、正臣君の思い人教えてあげようか?」

「黙って下さい」



正臣が僕の事を親友としか見てない何て分かってるし、他に思い人がいる事も何となく知っていた

けど、それを改めて指摘されると良い気分にならい
というか苛立ちよりも悲しみの感情の方が勝って涙が目に滲んでくる


 
「そんな泣きそうな顔して俺の話の内容には否定しないって事は分かってるんだね
賢い子は嫌いじゃないよ」

「…いい加減にして下さい、静雄さん呼びますよ」



僕は静雄さんと知らない仲じゃないし、臨也さんに困ってると言って呼べば飛んで来るだろうと思った
だから特に深い意味はなかった

只臨也さんがうざくて言った台詞だったけど
臨也さんの表情が少し変わった



「…それは止めてほしいなあ、シズちゃんが来ると物が壊れるし疲れるんだ
それに体力も使うし、今日は気分がいいから大嫌いなシズちゃんの顔は見たくないな」



何処か悲しそうな表情をして、泣いているような

そんな臨也さんの顔を見て、同じ状況だからなのか気付いてしまった



「…臨也さんって……静雄さんの事、」



そこまで言ったら臨也さんが僕の首もとにナイフをあててきた



「いくら帝人君でもそれは許せないな、それ以上言ったら間違って殺してちゃうかも」



それで確信出来た

ああ、この人もなのか
僕と同じで…
ああ、だから…


 
「臨也さん、静雄さんの事が好きなんですね、だから僕にあんな事聞いて正臣との仲邪魔しよう何て言ったんですね、それはそうですよね僕と正臣は親友っで貴方達は目をあわせただけで喧嘩ですもんね、逆恨みされても仕方ないですよね、僕と正臣は気軽に触れ合えるけど臨也さんは静雄さんに触れる事すら出来ませんもんね」



気付いたらそんな言葉を臨也さんになげかけていた

言い終わってから僕殺されるかもという恐怖がおこったけど
それを顔に出さないよう頑張った



「…………」



臨也さんは何も言わずに僕からナイフをおろし しまった

殺される覚悟をしてた僕は少し驚いた



「あの、臨也さん……」

「俺、帰るから
シズちゃんに見つかりたくないし」



此処まできても静雄さんに見つかりたくないと言う臨也さんの顔は泣きそうだった
さっき何かよりもっと

今静雄さんに見つかったら殺されるんじゃないかと思うぐらい弱々しかった



「い、臨也さんっ…!」



あんな事を言ってしまった罪悪感からなのか同じ状況にある人だからなのかそれとも僕に違う気持ちがあったからなのか分からないけど
僕はスタスタと去って行く臨也さんの背中に、
抱きついた



「泣かないで、下さい」

「…俺は泣いてないよ、それに泣いてるのは帝人君の方じゃない」

「臨也さんの変わりに、泣いてるんです」



貴方の心が泣いてるから変わりに僕が目で泣くんです
と、

さっきよりも臨也さんの腰にきつく抱き付き俯いて

そんな僕を臨也さんは此方を向いて腰に手をまかせて僅かにだが、抱き付き返してくれた








(臨也さんも、)
(帝人君もね)



 

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