帝人受け


□衝動
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歯痒い、最近そう感じ始めた

何がって? そんなの決まってる



「おはよ、正臣
今日は遅かったね、どうかしたの?」



帝人との距離が



「おっはよー、帝人!
おう、今日はな綺麗なお姉さんを見かけたもんだからこれはナンパしなきゃいけないという本能的な何かが俺に告げられて」

「あー、うん ごめん
聞いた僕が馬鹿だった」



今日も相変わらず手厳しい返事をしてくる帝人に
友達とかではなく 恋愛対象として好きになったのは何時だろうか

きっと 久しぶりに再会したあの時ぐらいからだ

何時その気持ちに気付いたのだろうか
きっと、初めからだろうな



「人の話は最後まで聞こうな、帝人
たっく、これから俺とお姉さんとの青春妄想甘々ラブラブストーリーが始まるってのに」

「どうせ失敗したんでしょ
ていうか 妄想なんだ…」



帝人が呆れた目で此方を見てきた
あ、溜め息までつかれた


とにかく、今日の俺は何時にも増して親友という肩書きの位地に
歯痒さとかもどかしさとか苛立ちを覚えていた
 
あー、ほら今も俺の方を見て何かを喋ってる帝人の唇に
キスしたいとか押し倒したいとか不毛な事を考えてしまう



「でさ……正臣?
僕の話聞いてる?」

「あ、ああ聞いてるぞ
俺がかっこよすぎてどうしようって話だろ?」

「うん、もういいよ
早く学校に行こっか」



本当にそんな話だったらいいのに、と 馬鹿な期待を僅かにしてみる


ああ、俺もう本当に末期かも

どうしよう、今すぐにでも帝人を押し倒したい、キスしたい



「…正臣?」



どうしたのって言って首傾げたら反則だろ
分かんないでやってんなら詐欺だ


思い上がった俺はもう我慢出来なくて
帝人の手を引っ張って殆ど強制で帝人を裏路地に連れ込んだ

ちょっと乱暴すぎたかな、何て考えてる余裕もなくて



「正臣、手 痛いんだけ……ん、」



嗚呼本当に何やってんだ俺

もう無理矢理キスをした

流石にディープキスまではしなかったけど
それでも触れるだけのキスをしてしまった


帝人は驚愕に目を見開いていた

そりゃそうだろうな、ついさっきまで親友だった奴からキスされたら驚くよな
しかも男同士、引くよな 普通
 
グッパイ 俺の恋愛



「…悪い、ごめんな 帝人」



そう言ってその場から逃げるように立ち去った

明日からは もう親友じゃいられないんだろうな
そう思うぐらいなら初めからしなければいいのに、何て今更


帝人の様子は見る余裕もなかった

きっと帝人は軽蔑とかそうゆう目を向けてると思ったから
そう考えるだけで辛くて



…明日からどうしよう






 

(後に残ったのは後悔だけ)





 

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