そのた


□恋愛カリキュラム
1ページ/1ページ

 








昨日の夜、俺は余計なことを自覚してしまった


シズちゃんが好きってことを




恋愛カリキュラム




「……うわ」



今の状況を一言で言うなら、最悪

昨日の夜、余計なことを考えてしまいろくに寝れなかった

気晴らしに外を行くあてもなく只、ブラブラと歩いているはずだったのに
どうゆう訳か俺が昨晩まともに寝れない原因をつくってくれた本人に出くわした

此処は池袋でもない、新宿だってのに

こいつに会わない為に新宿だけをブラブラしてたってのに



「……臨也ぁ、てめぇこんな所で何してやがる」

「それは俺の台詞何だけどなぁ…」

「死ねえぇぇぇっ!」



殊更何時ものようにそこらへんにあった標識を雑草でも抜くかのようヒョイと軽々しく抜き、此方に迫ってくる

何時もなら平然と交わせる攻撃に俺は焦っていた


あり得ないこいつ
俺は昨日自覚したばかりの恋心を一生懸命隠さなきゃいけないのに何も態々今日新宿にこなくても

今日だけは会いたくなかったのに



「……っ、」



そこまで考えてようやく目の前に迫る標識に気付き、ギリギリで交わした
筈だったが、どうやら多少遅れたらしく頬に傷がついた

まあ、そんな事些細な問題だが

今は目の前にいるこいつからどうやって逃げ出すかだ

そんな事ばかりを頭の中で巡らせてるわけだから、何時もの軽口をたたくのも忘れてしまうわけで



「…………」

「臨也よぉ…、なんだか今日はやけに大人しいなぁ」

「な、べ、別に何時もどうりだから」
 


俺としたことが初めてかもしれない、シズちゃんの前で言葉をかんだ

ていうか俺は何処の乙女だよ



「…あー、何かもういいわ。帰る」

「は、え、ちょ…」



そんな俺らしくない態度に戦闘意欲でも削がれたのか、また初めてかもしれないシズちゃんが何もせずに(標識投げてきたけど)帰ろうとした

そして、そのシズちゃんを引き留めようとしてる俺は何なんだろう



「あぁ?」

「あ…、」

「んだよ、珍しく俺が見逃す言ってんのによ」

「いや、その、」

「…何だよ、ほんとに今日のお前変だな」



言葉を返せなかった


変、と言う言葉に俺が傷付いてるとでも?
まさかシズちゃんの一言に俺が傷付いてるとでも?



「もういいよ、シズちゃんの馬鹿っ!ストーカー!」

「はぁ!? って、おい!」



とりあえず俺は捨て台詞を残してその場から走って退散という策をとった

だから、俺誰だよ



「臨也ああぁぁぁぁ!」

「うわっ、何でついてくんのシズちゃん!?」

「てめぇが逃げるからだろ!」

「俺は逃げてないよ、走ってるだけ!」

「じゃあ、てめぇが走ってるからだ!」

「じゃあスキップするから、ついてこないでよ!」

「そしたら俺もスキップして追いかける」

「…シズちゃんのスキップ気持ち悪いからやめてよ!」
 
「ならスキップすんな!」

「…う、じゃあ、ムーンウォークしてやるよ!」







「ねぇ正臣、あの人達ほっといても大丈夫かな」

「触らぬ神に祟りなしだぞ、帝人」

「…そうだね」

「あ、臨也さんの靴すっ飛んできた」

「…何で!?」






 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ