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臨也さんは昔からああだったのか、
初対面の怪しい少年にまであんな事を簡単にする人だったのか

エレベーターの中でしゃがんで考えて見るが出た答えは否

臨也さんの仕事と性格上あり得る

気になる人間がいたらああゆう事しそう
自分の存在を植え付けておく為に

でも普通の人は、っていうか僕だって臨也さんに会わなかければそっちの趣味はなかった

普通の一般人がいくら眉目秀麗な臨也さんでも、いきなりキスされたら引くとか思わないのかな

…臨也さんは思わないか



「…臨也さんて昔からそんな趣味あったんだ」



僕みたいな平凡な少年を好きになる変わった人

でも初対面でキスはどうかと思う

僕じゃなかったら引く

…僕以外にしてない事を願う
今度臨也さんに聞いてみよう


―そろそろ次の階に行かないと


そういえば、このエレベーター何処からきたんだろう

臨也さんが僕にキスをしてすぐ、目の前に試練クリアみたいな事を言いながらエレベーターの扉が現れた

周りといっても人数は少なかったけど、周りの人達はまったくエレベーターの存在に気付いていなかった

今更だけど吃驚な事ばかりだ今日は
その殆どの原因は臨也さんにあるんだけど



「えっと、次は…29階?」



今までの流れでいくと、さっきの臨也さんは高校生で16階だったから多分16歳だと思う

て事は次は29歳…未来の臨也さんという事になる

今の臨也さんの年齢は23歳ぐらいだから6年後の世界だ

楽しみと不安の両方の感情が押し寄せてくる



「…楽しみって、僕も結構非常識なのかな」



普通の人間は困惑して戸惑う所だろうに、平常心でいられる僕は普通なのだろうか

…あんま深く考えないでおこう
きっと臨也さんのせいで僕の基準がおかしくなっただけだ


そんな事より早く行こう



『29階へ参ります』



このアナウンスだけならまとも何だけど

僕が話かけると何か…臨也さんみたいな返答が返ってくるんだよね

きっと気のせい、
と自分に言い聞かせる


あ、そろそろ着くかな



『29階です
試練2、…頑張って下さい』

「ちょっ、試練の内容おかしくないですか!?」



臨也さんいというか、甘楽さんみたいだ、
適当ぶりが



『繊細は言えないですけど、…頑張って下さい!』

「ええぇぇぇ!?」

 
 
何を頑張ればいいのか、と問う前に扉が開いた



「……池袋、じゃない?」



今度は池袋ではないが知っている場所

見慣れた景色に見慣れた家

時間は夜中

だけど何処か違う雰囲気を感じるのは未来のせいか


そこは、夜の新宿
目の前には臨也さんの家


きっとこれは臨也さん会えという事だろう

今思えば試練1も知り合いになれだったがあれは臨也さんと知り合いになれって意味だったと思う

…知り合いどころじゃなかったが



「…………」



いくら恋人の家で何回か来た事はあるといえ、時代は未来(らしい)

それに6年間も臨也さんとの交際が続いているのか怪しい

戸惑うのは仕方がない事

未来の臨也さんに会えると楽しみもあったが、今あるのは不安だけ

でも此処で黙っててもどうにもならないのも事実



意を決してインターホンに手をかけ、押す

臨也さんがこの時間に居るかは分からないし、居ても寝ているかもしれない

…僕の事を追い返すかもしれない

何とも言えない想いが頭の中にいっぱいになる



「ようこそ」



聞こえてきた声はインターホンからでもなく、目の前から

何時扉が開いたのかすら分からなかった
 

29歳の臨也さん、
此処が本当に未来か疑いたくなった

だって、何も変わってない

あの全てを見透かしたような笑い方も、ムカつく程に綺麗な顔立ちも
全部昔のまま、歳何てとってないみたいに

服装だって何時もどうり

黒い長袖に、黒いパーカーに、黒いズボン、臨也さんのまま



「待ってたよ」



こんな夜中に急に訪れてきた僕を怪しがる訳でもなく待っていたと言う事は少なからず僕を追い返す気はないみたいだ



「えと…あの、臨也さん?」

「うん?」

「何歳…ですか」

「29歳」



ああやっぱり、何て事を頭の隅で考える

どうやら此処は本当に未来らしいのに、6年たっても幼いままの僕に違和感を覚えないのか不思議でたまらなかった


まるで今日この時間に僕が来るのを分かっていたみたいに



「さあ、立ち話もなんだから中へどうぞ」



扉の奥の豪華すぎる家の中へ案内される

人の気配はしなかった



「それに、長い話になりそうだからね」

「…………っ!」



そう言いながら僕を家の中へ入れる臨也さんの顔を見て、これからとんでもない事が起きる気がした




 

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