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「…臨也さん」

「ん?何かな、帝人君」

「何じゃないですよ、僕に何したんですか!」



今日だけで、僕は臨也さんと出掛けたことを何回後悔したのだろうか



「何って、面白いこと」



説明になってない、と言うか僕は何でまだ帰ってないんだろう

いや、帰ると言っても臨也さんと話終わってからもエレベーターが出る気配もなかっし、臨也さんも帰す気はなかったみたいだけど

それに、何だか身体があつくなってきた

それが一番の問題だった



「面白いことって…、」

「だって帝人君があまりにも可愛いから、薬盛っちゃった」



語尾に星マークが付きそうな勢いで犯罪まがいのことを言われた

そして、やっと僕の身体があつい原因が分かったが、問題が増えただけだった



「何の薬かは帝人君なら言わなくても分かっちゃうよね?
あ、でも効果は軽いやつにしてあるから安心してよ」

「犯罪ですよ、臨也さん…っ」

「今更なこと言われてもねぇ」



やっぱり、エレベーターが現れなくてもあの時すぐ帰るべきだった

盛られた薬は、多分媚薬あたりだろう



「ちょ、…何するんですか!」


 
あろうことか、臨也さんが僕の服を脱がしにかかった

本格的にこれはヤバいんじゃ



「じゃあ、6年前の帝人君いただきまーすっと」
 「臨也さん!やめて下さ……っ」



その時だった

僕の視界の端から腕が伸びてきて、
僕の口に何か小さなコップのような物で、強制的に何かを飲まされる


飲まされてすぐ、身体の温度が下がった感覚

そして、それと同時に激しい眠気におそわれた



「あーあ、いいとこだったのに」



意識が遠のいてく中で、臨也さんの落胆したような声が聞こえた



「何で止めちゃうのさ」



臨也さんは、多分僕に何かを飲ませた人に話かけている

それが誰なのか確認する気力もわかなかった


―もう、助かったならそれでいいや


段々と目を開けてるのも辛くなってきて、瞼をおとす



「今度きちんと責任とってもらうからね、帝人君」

「どっちにろ犯罪ですよ…臨也さん」



意識が途切れる寸前

臨也さんが相手の名前を呼んでいた

相手もそれに返事をしていて、
その名前と声は凄く身近で、聞きなれた感じがした








「だけど、帝人君
君は6年前の帝人君に姿見られちゃ駄目なんじゃなかったっけ?」
 
「…誰のせいで現れたと思ってんですか
それに、見られてはいないでしょう」

「だといいけどねぇ」

「じゃないと困りますよ
それに臨也さん、ちゃんと話すこと全部話しましたか?」

「あー…一つだけ、忘れてた」

「わざとの間違いでしょう」

「やっぱ今の帝人君は鋭いね」

「…はぁ
もうちゃんと話しといて下さいよ
僕は出掛けるんで」

「あれ?
何処行くの、帝人君」

「仕事、です」

「そ、いってらっしゃい」



バタン、と扉の閉まる音

部屋に残された片方の男が呟く





「さて、俺も仕事しなきゃなぁ」




 

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