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「とりあえず、行くしかないよね…」



手元の紙を見ると最初には 16 と書かれていた

恐る恐るながらも16階のボタンを押そうとした時、ふと思った

…そういえば携帯あるんだっけ

圏外だと思ったが僅かに期待を寄せて
ポケットから携帯を取り出して見る



「はぁ………」



案の定、圏外
時間を見てみると9:03

きっとこのエレベーターに入った時は
9:00ジャストだっただろう


兎に角、これ以上余計な事をして時間を潰すのもあれなので
ぱっぱと帰ろう


今度こそ、16階のボタンを押した



『16階に参ります』

「…………」



無機質な機械音がエレベーター内に響いた

…いきなり流れるもんだから、
少なからず驚いた


今の階の位置を確認すると8階
後もう半分

ああ、それにしても16階に
何が待っているんだろう

それに 臨也さんの真理が掴めない
僕に何をさせる気だろうか

それにしても今日の臨也さんは変だったな…
いや、いつもか


とか 考えてるといつの間にか16階に着いた


 
『16階です
試練1、知り合いになって下さい』

「…………はぁ?
え、どうゆう意味?」



知り合いって誰と、何処で
ていうか、試練1って
意味不明すぎる



『それくらい自分で考えて下さいよー』

「えっ…!?」



まさかアナウンスから返事が返ってくるとは
ていうか、適当な



『はい、じゃあがんばー』

「適当!?」



ああもう何か今ので 今までの緊張とか
いろんなのが抜けた気がする

迷ってても仕方ないので、とりあえず僕は16階について開く扉の方を見た



「……え、」



僕は今日何回驚けばいいんだ
また吃驚した

扉の向こうは外、池袋だった
此処建物じゃなかったっけ


気付いたらエレベーターの入口も消えていた



「…………?」



でも、違和感がある

池袋だけど何時もの池袋じゃない


ちらっと建物のに貼ってあったポスターを見てみると
そこには 2003年12月24日 と書かれていた

って、2003年て7年前…

この階で知り合いになれとは言われたけど誰とは言われてない
僕はどうしたらいいんだ
 
とりあえず、エレベーターから出た場所が公園だったから
ベンチに腰をおろした

この状況でも冷静でいられる自分を誉めてもらいたい


目の前には噴水があった
時間も時間なのでそう人は多くない



「試練とか言うやつに時間制限ってないよね…?」

「ねぇ、試練て何の事?」

「…え!?」



いつの間にか僕の目の前には誰かがいた
さっきまで人気もそんななかった筈なのに

っていうか、これって…



「臨也さん…!?」

「へぇ、俺の事知ってるんだ
俺も有名になったね」



何処からどう見ても臨也さんだった

只、違ったのは服装が何時もの黒いのではなく
学ランだった

そういえば此処は信じた訳じゃないけど7年前らしいから、
なんだかもう信じるしかない

でも、臨也さんの名前を呼んでしまったのは迂闊だった



「所で君は何て名前?」

「竜ヶ峰帝人です…」

「ふぅん、エアコンみたいな名前だね」



何か臨也さんだなって確信出来た気がする



「竜ヶ峰帝人君、君は何者かな」

「え……?」

「なーんか、遠目で見た時も思ったけど君普通じゃないよね」
 
「…いや、普通ですよ?」

「そうかなぁ
俺の名前を知ってる人で普通の人何かいないと思うけどな
それに 何て言うのかな、帝人君って何かこの時代にそぐわないっていうか、不思議な感じがする」



吃驚してたってのもあるけど、名前を呼んだのはタブーだった

それにこの時代にそぐわないって、
どんだけこの人は勘がいいんだ



「俺とも知り合いっぽいけど、俺の知ってる中に君みたいな人はいないし
…帝人君は何処の学校?」

「来良ですけど…」



答えてからハッとする

そういえば、7年前は来良じゃなくて来神とかいう名前だった



「来良ねぇ…そんな学校聞いた事ないけど」

「あ、いや…あの……」

「でも嘘ついてるようにも見えないんだよね
んー、まあ細かい事はいいや
俺も君に興味があるし、いろんな意味で」



明らかに怪しいのを受け流してもらえたのに安心する

只 安心したのも束の間、僕の目の前に臨也さんの顔が迫ってきて―


刹那 唇に何かが触れる感覚



「………っ!?」

「あはは、面白い顔
それじゃ、時間だから」



そう言って僕の前から消えて行った




 

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