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□魔法の言葉
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※2巻捏造









「おーい、アシタバ」

「それでね、美作くんが、」



おかしいだろ、これは

アシタバが本好の家で変な機械で何かをやってから、ずっとこうだ



「そしたら美っちゃんがね」

「――って、ちょっと待て
今お前美っちゃんって言ったよな!?」

「やだなぁ、藤くん
僕が美作くんの事を美っちゃんって呼ぶのがそんなにおかしい?」

「いや、めちゃくちゃおかしいだろ」



アシタバがあの日からずっと本好みたいになっちまった

どうにか戻らないのだろうか


俺はアシタバが好きな訳で

それは友達としてではなく恋愛感情で

まだ想いは伝えてないし、男どうしだから引かれるんじゃないかとか、今の関係が崩れたら嫌だとか
只俺が逃げてるだけで

だから好きな人がおかしくって言うか本好化してるのは少しでも早く直ってほしい訳だ

美作みたいになるよりはまだ本好の方がましだと思うが

だけどいっつも危なっかしくてオロオロしてるのがアシタバだ

そして俺の好きなアシタバでもある

やっぱり今のアシタバは、アシタバであってアシタバじゃない



「藤くん聞いてる?」

「え、…あー、うん」
 


気付けば他の奴らはいなくなっていた

きっと俺がアシタバの事を考えてたうちにそれぞれ家に帰ったのだろう
教室には誰の姿もなかった

まあ、アシタバ以外興味がないからどうでもいいが



「なぁ、アシタバ」



そう言ってアシタバの顎に手をかける

アシタバと俺は机を中心に向かい合ってる状態ではっきりと目があった

その顔には疑問の色が浮かんでいた

そんなアシタバに俺は構わずイスから身を乗り出して、
自分の唇をアシタバの唇に付けた

まあ、俗に言うキスってやつだ



「………っ!?」



するとアシタバは顔を真っ赤にして此方を見てきた



「ふふふ藤くん!?
な、何やって…、」

「あれ、戻ったかアシタバ」

「え…、あ、あれ…?
僕何で此処に…、あれ?」



何という事だろうか

シタバが元に戻ってくれた

俺のキスで元に戻るとか何このフラグ
おいしすぎる



「って言うか藤くん!!」

「あ、何?」

「さ、さっきの…あれって…」



あー、やっぱり流してくれなかったか、とか心中で呟いた



「あー、まあそうゆう事だから」

「え……ど、どうゆう意味?」

「…俺に言わせるのかよ」
 


顔的に鈍いんだろうなとは思ってたけどな



「だからー…、」



俺がこんな科白を言う日が来るなんて
想像もしなかった

少なくともアシタバに会うまでは



「俺アシタバのこと好きだ、から」



そう俺が言うと目を大きく見開いたまま固まったアシタバがいた



「え、あ……え…、うぇ!?」

「まぁ、お前の気持ちはともかく、俺はお前のこと好きだから、アシタバは気持ち悪いとか思うかもしんねーけど、」

「お、思わないよ!」



これには驚いた

さっきまで固まっていたアシタバがいきなり俺の言葉を遮って言ったのだから



「あ、いや、あの僕も藤くんのこと……、好き、だし…」

「え……は?」







魔法言葉
(だ、だから!僕も藤くんの事がって、)
(あれ…藤くん?)




 

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