小説2
□Happy Halloween!
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「何故私が悪戯されなきゃいけない!はなせ!」
「風介がお菓子くれないから悪いんだろ」
「かといってこれはやりすぎだ!晴矢!」
ただでさえ寒いのに、冷たい壁に痛いほど押しつけるなんて酷すぎる。一気に体温が下がってしまいそうだ。
だけど、晴矢に見つめられているせいか頬だけは熱くなっていく。
何故、こんなことに。
事のはじまりは、晴矢が私の部屋に押し掛けてきたことだった。そこまでは別にいつものことだから驚きもしないのだが…
「トリックオアトリート!」
なんて意味の分からない英語を叫ばれてもどう対応すればいいのか。
しばらくすると「お菓子くれないと悪戯するぞ」と日本語になったが、残念ながらさっきチョコレートを食べてしまったため私の部屋にお菓子はない。
そう話すと、にやりと嬉しそうに笑い、
「じゃあ、悪戯な?」
そして、冒頭に至る。
もしかしたら、最初からお菓子ではなく悪戯目当てで来たのかもしれないと思ったけれど、そうだとしたら気づくのが遅かった。初めから分かっていれば無理矢理にでも追い出したのに。
「晴矢っ!いい加減にしてくれ!」
「風介のお願いでもそれは聞けねぇなぁ…」
「最悪、だ!」
私は晴矢のされるがまま。
頬や押し付けられた手のひらにまでキスをおとされ、いろんな意味でもう限界だった。
おそらく涙で濡れてるだろう目で晴矢を睨めば、何故か楽しそうに笑われた。
「なんかさ、ハロウィン最高って感じだな」
「は?」
「風介にこんなことできるし、な?」
何がこんなことだ。いつも似たようなことやってるだろう!
そう言おうとしたが、口を唇で塞がれたため言えなかった。
少し仕返してやろうと思い、唇がはなれた瞬間、晴矢の頬をつねってやった。
「いひゃい!やめろ!」
「ははっ…仕返しくらいしてもいいだろう?」
頬を離して、さっきよりいきおいのなくなった晴矢とソファーに移動した。冷たい壁よりずっとましだ。
少し安心して目をソファーに背をあずけた、そのとき。
「2人ともっ!おかしあげるからいたずらさせて!」
ノックもなしで飛び込んできたのはヒロトだった。
それぞれ別の意味で赤くなった頬に私の軽く乱れてしまった服。そんな状態の時に、だ。
「あ、ごめん…お邪魔しちゃった…?」
「いや、大丈夫だ。ところでヒロト…その紙袋は?」
「あぁ、これ?これはね!」
袋が目の前でひっくり返さ
れ、出てきたのは大量のおいしそうなお菓子だった。
「これ、全部あげるからいたずらさせて。」
「わかった」
お菓子を食べたあと、いたずらってなんだろうと不思議に思っていたとき、笑顔でカメラを持っているヒロトに差し出されたのは…猫と狼の耳のカチューシャだった。
Happy Halloween!
ハロウィンバンガゼでした!
今回ヒロトの出番が結構多いです。
ここまで読んでくださりありがとうございました!
2010.10.31