†カカベジ†
□射程距離
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−あいつ、今頃どうしてっかなぁ。
悟空は肩の傷を見ながら、風呂でさっきまでの出来事を思い返していた。
「ようベジータ!」
玄関から入るのが面倒臭かった悟空は、瞬間移動で西の都のCPの一室に来た。そう、ベジータの部屋である。
「…貴様、俺は何度も瞬間移動は使うなと言っているだろう」
目当ての人物は寛ぎタイムだったのか、ソファーに横になり本を読んでいた。射殺さんばかりの視線を悟空に向ける。
「いやぁ、悪ぃ悪ぃ。楽なもんだからよ」
「何の用だ」
「用?用か、実はなぁベジータ」
「用はない、なんて言いやがったら吹き飛ばすぞ」
脅しではないと謂わんばかりに、ベジータは片手を悟空に向けて伸ばし掌を向けた。
「まぁまぁ怒んなよ!」
「ふん」
ベジータは一向に下げる気はないらしい。悟空はどうすればいいのか分からなかった。
「ん〜、まぁ修業に行かねぇか?おめぇも久しぶりに思いっきり体動かしてみてぇだろ」
ぴくり、とベジータが反応する。どうやら効果覿面らしい。
「修業だと?」
「おめぇもやっぱり実戦の方がいーだろ?」
「…ふん」
ベジータは手を下げる。悟空は内心安堵した。部屋で気弾をぶっ放されてはたまったもんじゃない。
「さぁ行こうぜベジータ!オラに捕まれ」
「断る」
「えぇ!」
「貴様に触れるなんぞ胸糞悪ぃ」
ベジータは起き上がると窓枠に足をかけた。そして顔を悟空に向けニヤリ、と笑うと
「俺は貴様にスピードで負けはせん」
「ちょ!」
そういうとベジータは飛び出していく。悟空は仕方なく舞空術を使い空に飛びたった。
着いたのはごつい岩が沢山ある山だった。
「とっとと始めるぞカカロット」
ベジータは目をきらきらさせながら構える。悟空は内心(綺麗な目だなー)と思いながらも口には出さない。
「早く構えやがれカカロット!」
「よし!行くぞベジータ!!」
悟空が跳躍し彼に勢いよき飛びこんでいく。ベジータは腕を交差させ衝撃を堪え、すかさず反撃する。
「おわっ!」
「気をぬいてんじゃねぇ!」
「わっわっ!」
「はぁああああああ!!」
ベジータの手から無数に放たれる気弾を悟空は跳ね返す。
−体に痺れが走る
「まだまだだカカロット!!!」
−今あの綺麗な瞳を独占しているのは自分
「どうしたカカロットォ!!貴様の力を見せてみやがれ!!」
−あいつの頭の中は自分でいっぱい
「…やべぇ、オラもう我慢なんねぇ」
悟空はベジータの背後に回ると両腕を拘束する。
「!は、離せくそったれ!!」
「悪ぃなベジータ、オラもう…」
「!?」
悟空は空中でベジータを捉えたままキスをした。ベジータは抵抗しようと必死になるが、身動きが取れない。
「んぅ!!!ぅ!!!」
悟空は口を離す。そしてジッと見つめた。
「き、貴様ぁ!!!サイヤ人の王子である俺にむかって!!!」
「仕方ねぇだろ?してぇーって思っちまったんだし」
「野蛮人が!!!!!」
「そう怒んなよー」
ベジータは踵を使い悟空の脇腹に蹴りを喰らわせ、ようやく悟空の拘束から解放された。額には青筋がいくつか浮かんでいる。
「…っ!!今すぐあの世に送ってやる!!!!!」
ベジータの手から巨大な気弾が放たれた。悟空は慌ててソレを交わすが、肩を怪我してしまう。
「いちちち」
「貴様の下心まるだしの修業なんかに付き合ってられるか!!!!!」
そういうとベジータは一人どこかに飛び去っていった。悟空は地面に下り、岩にもたれ座る。
「…確かにおめぇは、サイヤ人の王子だもんなぁ」
誰よりも傲慢で気高くて。
誇りから生まれたような男。
それがベジータ。
「…オラも悪ぃ大人なんかもな」
悟空は自嘲した。妻子がいるのに妻には沸かない欲情を、同族であまつさえ同性に抱くなんて。
ありえない。
だが、本能は求める。
闘いを求める本能とはまた別。
アイツが欲しい
アイツの全てを支配下に起きたい
「オラも相当、狂っちまってるなぁ」
悟空はそういうと、ベジータを追い掛ける気がなぜか起きなくて帰宅した。
ベジータ、オラもうおめぇを逃がしてやれねぇ
おめぇはもう、オラの【射程距離】に入っちまったからなぁ。
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はい、悟空さは積極派!という話!
あ、ちなみにまだカカベジになる手前くらいですね(^-^)しかしなぜだろう、
このカプだと何故かバトルシーンを入れたくなる!
2009/11/30