†カカベジ†

□WaitMe
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普段通りトレーニング室で修業していたベジータは、馴染みある気が顕れて眉根を寄せる。
「ベジータ」
じとっとした視線と恨めし気な声色は、今は幼い悟空から放たれたものだった。ベジータは無視して修業に励む。
「おめぇ、オラがゆーかいはんって奴に捕まってた時見捨てたろ」
「ふん」
そう。宇宙船が完成するまで暇だった悟空は、パンを追い掛けている途中に誘拐犯に捕まったのだ。身代金の電話がCPにかかってきた時にベジータが言ったのは。

『悟空?…煮るなり焼くなり好きにしろ』

ちなみにこの時。悟空は誘拐犯の一人とジェットコースターに乗っていたが、ちゃんと聞こえていた。

恐るべしは悟空の耳。

「貴様を捕縛できる化け物なんかいないぜ」
「オラはちっこい子供なんだぞ?」
「悟飯に聞いた。貴様はその体型をなんとも思っていないとな」
「だってよぉ、オラ別に闘えたらそれでいーもんよ」
「…ふん、貴様のその恰好は俺にも都合がいいぜ」
意味ありげな言葉に悟空は首を傾げた。どういう意味だろう。
ベジータは相変わらず修業を続けている。そこで悟空は気がついた。
「なぁなぁベジータ」
「…」
「おめぇ、老けたなぁ」
「!」
ビキッ、と音を立ててベジータが固まった。悟空はさらに続ける。
「髭も生えたんかぁ!いいなぁ、オラ生えねーぞ」

ビキビキッ

「なぁベジー」
「やかましい!!!」
怒号とともにベジータが気弾を悟空にぶっ放す。悟空は慌てて避けた。気弾が当たった合金の壁は見事にへこんでいる。
「何すんだよ、危ねーなぁ」
「貴様がやかましいからいけないんだ!いちいちカンに障る野郎だぜ!」
「?オラなんか怒らすような事言ったか?」
「…ちっ、くそったれめ。見た目だけじゃなく中身もガキなのは変わらんな」
「??」
ベジータは重量装置を切りタオルで汗をふく。悟空はそれを黙って見つめていた。
上気した頬、鋭い瞳。老いてもなお鍛えぬかれた体。
何かがぞく、と悟空を刺激する。そういえば、と悟空は思った。
「なぁなぁベジータ」
「…」
ベジータは無視してドリンクを口にしていた。
「オラ達、最後にえっちしたのいつだ?」
「!!」
ベジータの口からドリンクが噴射する。そして激しく噎せた彼の背中を悟空は軽く叩いた。
「だ、大丈夫かぁ?おめぇ」
「き、貴様がっ…!くだらん事を、げほっげほっ」
「くだらなくなんかねぇぞ」
落ち着いたベジータは悟空の手を払い、視線を悟空に合わせ睨みつけた。
「…知ってどうする」
「や」
「やるとか、そういうくだらん事を言うなよ?」
「なんでだ?」
「…カカロット。貴様、今自分がどういう状況なのか分かってるのか?」
「オラが?オラは…あーーー!!!」
「ふん、俺は餓鬼とヤるつもりなど微塵もない。元々、貴様とヤるつもりもな」
勝ち誇ったようなベジータの笑みに悟空はうなだれる。そして勢いよく腰紐を解いてズボンの中を見ると…
「!!!!!!!」
「…下品な奴め」
「オ、オラの○○○○が…!○○○○がぁあああ!!!」
悟空は泣き出した。ベジータはそれを欝陶しげに見る。
「いい年して泣くな、やかましい」
「だってぇ、だってぇ!わぁぁあぁん…!」
「…〜っ」
「うわぁあああん!こんなんじゃオラ、ベジータとえっち出来ねぇよぉ!」
「!!!馬鹿野郎!!」
ベジータは急いで悟空の口を塞ぐ。悟空はびっくりして涙が止まった。
「貴様!!ブルマ達に聞こえたらどうするつもりだ!!」
「ほんふぁふぉふぉふぃっふぁっふぇ」(そんなこと言ったって)
「くそったれめ!!!次にそんなことを大声で言ってみやがれ!!灰にしてやる!!」
ベジータは悟空から離れると、顔を赤くしたままドリンクを口にする。
「悪かったよベジータ、オラ少し混乱しちまった」
「ふん」
「そっかぁ、これじゃあベジータを満足させてやれねぇもんなぁ」
「…貴様、本当に俺の言う事が分かってんのか?」
ベジータの額に青筋が浮かぶ。そんな彼を見て悟空は微笑む。
「ベジータ、おめぇも中身は変わんねぇーな」
「なんだと?」
ベジータの目が据わる。馬鹿にされた、ととったのだろうか。悟空は違う違う、と頭を振った。
「馬鹿にしたんじゃねぇぞ。おめぇは相変わらず誇り高くて、みっともない所なんて見せたくねーんだなって」
「当たり前だ」
ベジータは不敵な笑みを浮かべ腕を組み、壁にもたれた。
「俺様は惑星ベジータの王子、ベジータ様だ。カカロット、貴様がよく知っているだろう」
「だよなぁ」
悟空は尻尾を揺らす。サイヤ人の証である尻尾は、久しくなかった悟空にとってなんだかむずむずした。
「今の貴様なら、簡単に殺せそうだぜ」
「そうか?」
「気も成人の時より落ちているしな」
「分かんねぇぞ?」
悟空は挑戦的な瞳を向ける。二人の間に静かな、激しい空気が流れる。悟空はにっと笑い構える。が、
「…」
ベジータは黙ったまま踵を反した。悟空は驚きに目が点になる。彼の事だからかかってくると思ったのだ。が、彼は予想に反した。
「お、おいベジータ」
「本来の力ではない貴様なんか、いちいち相手にしてられるか」
「そりゃねぇぞ」
「俺にかまってほしいなら、とっとと旅立ってドラゴンボールを集めてくるんだな」
「ちぇ」
ふて腐れる悟空にベジータは鼻で笑い、扉に手をかける。
「それに−…………」
「?」
ベジータはぼそ、と呟くとそのままトレーニング室からでていった。悟空はその場で首を傾げた。
「…んー?なんだ?」
悟飯の呼ぶ声が聞こえたので、とりあえず悟空は向かった。



『それに、…貴様との逢瀬も楽しみだからな』



††††††††††††††††
髭が生えたベジータを見て思った
(ひ、髭!?でこ広っ)
服装も髪型も違う、新たな貫禄のついたベジータ。しかし相変わらずちっこい(笑)
そんな中、久しぶりに見た悟空の姿にはきっと絶句したはず(笑)

流石に子供に襲われるのはベジータも嫌なんでしょうね。 私の頭の中ではベジータは待ってます(笑)大人に戻るのを。

 

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