†カカベジ†
□看病しろよ
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昨日から身体が妙にけだるく、頭痛が止まなかった。最初は、まさかこの俺様が風邪とかいう弱い生物がかかる病気になっているとか思わなかった。思いたくもなかった。
だから普段通り鍛練し、シャワーを浴び、飯を食い、夜中に忍び込んだバカロットを鎮圧してベッドに潜ったのだ。
そして次の日。
「完っ璧な風邪ね」
「だま、れ…ッ、げほっ」
ベッドから起き上がれない俺の隣に腰掛けたブルマが煙草を呑む。
「そんな、煙ったいもの、吸うんじゃ…げほっ!」
「あら、ごめんなさい」
「出てい、け…ッ!げほっげほ」
「風邪なんだから、看病しなくちゃならないじゃない。あんた、馬鹿じゃないの?」
「ば…!!げほっ」
この野郎!この超エリートであり王子である俺様に馬鹿だと!馬鹿なのはカカロットの野郎で十分だ!
内緒で毒づきながら、俺は寝返りをうつ。不意に鏡に映った己の姿が目に入った。
上気した頬は赤く染まり、全体的に汗をかいている。瞳は熱で野暮ったく潤み、濃紺のシャツは汗で色が変わっていた。
軟弱な、屈辱的な己の姿に舌打ちする。
「でも困ったわねぇ、あたしは今日の会議絶対出席だし」
「早く…行きやがれッ」
「トランクスも悟天君と出掛けて、ブラも友達の所にお泊りだし。あんたをまさか一人にするわけにはいかないし」
口調がまるでどこかの母親のようだ。何だかガキ扱いされているようで苛立つ。
ブルマは唸ると、突如目を輝かせた。そして満面の笑みでさらっと言いやがった。
「しかたないわね。孫君に来てもらいましょ」
「なんだと!?げほッげほっ」
「大丈夫よ、あれでも心臓病を過去に患ってるんだし。孫君も父親よ?看病くらい出来るわ」
「そう、いう問題じゃないッ。冗談じゃないぞ、くそったれめ…ッ!」
怒鳴ろうとして力を込めた瞬間、視界がぐにゃりと歪む。続いて睡魔が襲ってきた。
今朝飲んだ薬が効いてきたのだろうか。
「あん、な……奴…呼ぶ、な…ッ」
「出来るだけ早く帰るわ」
まどろむ意識の中、妻の優しい微笑みが見えた。まるで母親のような、そんな感じ。
くそったれめ。
俺は舌打ちをすると、重い瞼を閉じた。
ひやりとした感触が額に乗っかり、俺は瞼を開いた。真っ先に視界に入ったのは欝陶しい程鮮やかな橙色で…。
「おっ、起きたんかベジータ」
「…貴様」
橙色は隣で腰掛けている奴の胴着の色だ。カカロットは無邪気な笑みを浮かべ、俺の髪を指先で遊んでいる。
俺は右手でその手を払った。
「帰れ」
「やだ。オラは今日ブルマに頼まれたんだもんね、帰らない」
「貴様がいるだけで、よけいに具合が悪くなる。帰れ…」
「おめぇ以外と元気だなぁ。薬が効いてんか?」
「うるさい。くそったれめ、ブルマの奴覚えてやがれ…ッ」
「しっかし、おめぇも風邪ひくんだなぁ」
「やかましい」
「最初にブルマから聞いた時、オラびっくりしちまった」
「黙れ…げほっ」
カカロットに弱い所を見せるのが嫌で背を向けた。身体を丸めて咳をやり込める。しかし、一向に止む気配がない。
すると見かねたのか、カカロットの大きな手が俺の背中を摩った。無性に腹がたったが、楽になってきたので好きにさせる。
「でぇじょうぶか?」
「うる、せ……ッ」
「うーん、氷枕も代えたしなぁ。よし、次は着替えにすっか」
カカロットは立ち上がり部屋のクローゼットを開けた。中から黒いシャツと白いタオルを出す。
妙にご機嫌なカカロットに俺は嫌な予感がして、鋭く言い放った。
「貴様…何を企んでやがる」
「え?オラ別に」
「ふん!あらかた、下品な事考えてやがったな?」
「いっ!」
「俺様の着替えを手伝うつもりで、…流す気だったな?」
「あ、はは…」
「ふん!見え見えだぜ、カカロットさんよ…げほ。いいから、その着替えをよこせ」
「お、おめぇ辛ぇだろ?」
「黙れ。よこせ」
右手をカカロットに向かって延ばす。カカロットは謝りながら俺に着替えを渡し、受け取った俺は直ぐさま着替える。
「…げほ、」
「ベジータ、腹減ってねぇか?」
「いらん。食いたいなら貴様が食え」
「オラは朝腹一杯食ってきたから大丈夫だ。…じゃあ薬にすっか」
「…」
「そんな睨むなよぉ。大丈夫、ちゃんとブルマから聞いてあっから」
カカロットは笑みを浮かべ、机に置いてあった白い袋らしき物をとる。そして…
「……おい」
「なんだ?」
「なんだ?…じゃねぇ!!この馬鹿野郎!何だって薬を飲むのに、俺様に跨がってやがるんだ!」
「え?だってコレは、尻から入れる薬なんだぞ?」
「なんだと??!」
俺は勢いよく起き上がると、頭痛が響いてよろめいた。しかし大きな腕に背中を支えられる。
「無理して起きあがんなよ」
「うる、さいッ!」
「ほら、尻出せよ。楽になんだぞぉ?」
「黙れ!!!誰がそんな恰好をッ、げほ!!」
俺はまた咳込み身体を折った。するとカカロットは背中を軽く叩き、俺をベッドに横たわせ反転させる。
「き、さま…ッ!」
「大丈夫だ、ベジータ。痛くねぇから」
「黙、れ!」
「これは熱が下がる薬。薬なんだベジータ」
まるで子供に諭すように優しくカカロットが囁く。俺は熱で身体に自由が効かなく、カカロットはその隙に俺の膝をおり、腰を突き上げるような四つん這いにさせた。羞恥と怒りに身体が震える。
「貴、様…ッ!この馬鹿野、郎!!くそったれ!!」
「また咳でんぞ?」
「生かして、おかん…ッ!げほ、げほっ」
ぎろり、と睨み据える。胸で荒れ狂う怒りが、気に表れる。だがそれは奴の表情を見て少し静けさを取り戻した。
「…オラ、本当に心配なんだ」
不安げに眉根を寄せ、口元をきゅっと結んでいる。馬鹿馬鹿しい、心配だと?たかが風邪だ。心配など無用だ。だが、…悪くない。心配されるのも、悪くなかった。
「…くそったれめ、早く終わらせろ」
「わかった」
カカロットの奴が下着ごとズボンを下まで下げる。まるで最奥を覗かれているようで、気が気じゃない。そして遠慮がちにごつごつした指の腹が、俺の秘部に触れた。
「……ッ」
「…すげぇきつそうだなぁ。入っかな、コレ」
「うる、せぇ…ッ」
「なぁ、ベジータ」
「なんだ!!」
「後で怒っていっからさ、ちょっと、ちょっとだけ解していいか?」
「!」
じっ、と犬のような目が見てくる。俺はとっとと終わらしたくて、顔を枕に沈め瞼を閉じた。
「ベジータ…」
恐る恐る指がゆっくり宛てがわれ中に入ってくる。ひやり、とした感覚に一瞬息を詰めたが、ゆっくりと息を吐く。
「は、ぁ…ッ」
「すっげぇ暑ぃ。…これくれぇなら、薬入っかな」
「早く、…いれろッ」
「わかった。お楽しみは、おめぇが元気になってからだな」
「バカ、ロットが…ッ」
カカロットが口で袋の封を切った。そして中から出てきた白い固形物を指で掴み、俺の中へ指ごと挿入した。
「く、ぅ……ぁッ!」
「慣れるまで気持ち悪ぃかもしれねぇ、けど我慢してくれ」
カカロットは指を抜くと、指先で秘部の入口を抑えた。俺は中に入ってきた異物の気持ち悪さに冷や汗をかく。
「ここ抑えとかねぇと、戻ってきたりすんかんな」
「は、…く」
そうしてどのくらいたったのか。カカロットは指を離すと下着とズボンを履かせ、俺を仰向け寝かせた。正直俺は驚愕した。
「……しないのか?」
「してほしいんか?」
「ば!!違う!!貴様があまりにも素直に指示にしたがったから」
「本当なら今すぐ押し倒してぇさ。けど、さすがにオラも病人に手ぇは出せねぇかんな」
「随分と、お優しい事だな」
「言ったろ?お楽しみはとっとくってな」
カカロットが欝陶しい程に無邪気に笑う。俺はふと奴の指に視線がいった。
脳裏に夜の行為が浮かび上がり、無意識に顔が赤くなる。
「ん?どうしたベジータ」
「な、なにがだッ」
「顔赤ぇ。薬入ってなかったんかな」
「馬鹿野郎!!確かめようとすんな!!」
「だって」
「大丈夫だ!欝陶しい」
俺は溜息をつくと、隣でオロオロするカカロットに滅多になく微笑みかけてやった。予想通りというか、カカロットの奴が目を白黒させて顔を赤く染め上げた。
「腹が減った。何か食い物を作ってこい」
「わ、わかった!!待ってろよベジータ!!」
ばたばた、と慌ただしい足音が遠ざかるのを確認して、俺は全身から息をはいた。
少し眠ろう。奴が起こしにくるまで。
俺は何とも言えない甘い気持ちに口端を上げながら、睡魔に誘われるまま身体から力を抜いた。
翌日、元気になったベジータは真っ先にブルマに文句を言いに行った。
アトガキ
たんなる座薬ネタが書きたかっただけ!!!やはり突っ込まれるのはベジたん!!
はぁ(ノ_・。)
なぜ私はこんなに文才がないのだろう。くすん。
2010/01/06