†カカベジ†

□Panic!BARENTAIN
1ページ/1ページ

俺はただじっとソファーに座っていた。
瞼を閉じれば、脳裏に電光石火の様に駆け抜けるカカロットの気を感じる。
その気は間違いなく此処、C.C.にある俺の部屋へと向かっているのは明白だ。
俺は隣にあった包装された長方形の青い箱を手にとった。





「よぉベジータ!チョコく」
「れ」という発音がバシンッ!という軽い音と相殺する。当たり前だ、俺様が箱を蟹頭の顔におもいっきりぶつけてやったのだから。

「やったぞ。さっさと消えろ」

「いちち。なんだベジータぁ、冷てぇなぁ」

カカロットは無邪気に笑いながら俺の横へと座った。幅広いソファーも大の男が二人並んで座れば狭い。
くそったれめ。毎年毎年せがみやがって!

「なぁなぁベジータ。オラ不思議でたまんねぇんだけどよ」

「なんだ」

「おめぇ何でチョコ用意してくれたんだ?」

カカロットの奴は目を丸くしてきょとんとした。
何故だと?この俺様がわざわざ貴様にこんな物を用意せざるおえなくなった理由は、貴様が毎年毎年しつこくせがみあまつさえ「お仕置き」だのなんだの言って真昼間から盛るからだろうが!!

「……」

「急に黙んなよぉベジータ。青筋浮いてっぞ?」

「……黙れバカロット」

「な、何怒ってんだっ?」

カカロットがわたわたと焦っている。俺は内心ほくそ笑んだ。いつもいつも余裕を見せつけやがって、たまには焦ればいい。
それにしても

「…おいカカロット」

「ん?」

「何時までいるつもりだ」

「何時までって、めぇったなぁ。オラ考えてなかったぞ」

「な、なんだと!」

「まさかおめぇがチョコくれるとは思わなかったかんなぁ。考えてなかった」

「なら目当ての物はくれてやっただろう!帰りやがれ!」

「やだ」

「…ッ」

この野郎!人が大人しくしてれば付け上がりやがって!
憤怒に身体が小刻みに震えた。ぎゅっと握りしめた拳は今にも奴の頬に食らいつきそうだ。

「まぁまぁ怒んなよベジータ」

「貴様が言うな!」

「ほらコレやっからよ。機嫌直せよベジータ」

奴から差し出されたのは橙色の紙に包装された四角形の箱。箱に貼ってあるシールには『Happy!BARENTAIN』と書いてある。
俺はそれを手にとると包装を丁寧に破り蓋を開けた。

「…ウイスキーボンボンか」

酒瓶の形を象ったチョコを一粒口に含む。口内の温度でとけたそれからは、とろりと少量のウイスキーが喉へと流れた。

「へぇ。それそんな名前なんかぁ」

「知らないまま買ったのか貴様」

「チョコに酒入ってるっちゅーからよ、それでおめぇ好きそうだなって」

にこっとカカロットの奴が笑う。ふいに胸が高鳴った…気がした。顔が熱いのもきっと気のせいだ。そうじゃなければ酒のせいだと理由を捜しながら、また一粒口に入れる。

「うめぇか?ベジータ」

「ふんっ。まあまあだな」

「そうかぁ。うめぇんだな」

カカロットのごつごつした大きな手が俺の頭を撫でた。みるむるうちに羞恥が湧き、俺はカカロットの手をはねつける。

「貴様ぁ!俺様をガキ扱いするな!」

「悪ぃ悪ぃ」

「ちっ、相変わらず欝陶しい野郎だぜ」

俺はまたまた一粒チョコを口にいれた。
ぱくっ
その様子をカカロットはジッと見つめていた。

「…なあベジータ。オラも喰っていいか?」

「勝手に食えばいいだろう」

ぱくっ

「じゃオラも食べちまうか」

「カカロット、味わって食いれがれよ?この俺様が買ってやったんだからな」

ぱくぱく

「分かってるって。ほんじゃ」

ドサッ

………………………………は?

「遠慮なくオラはチョコ(=ベジータ)を食うかな」

「ちょ、ちょっと待て!!!!」

何故俺がカカロットの野郎に組み敷かれてるんだ?いやその前にいつそういう話になった!食うのはチョコだろう?!何故俺様に標的が変わったんだ!

「ふざけるなよ貴様!」

「オラふざけてなんかねぇーぞ」

「十分ふざけてやがるぜ!大体バカロット、貴様が食うのはチョコだろう!」

「いやぁオラ大食いだかんなぁ」

「離せ貴様!今すぐ腹が膨れる程気弾を食らわせてやる!!」

「ははっオラそれは嫌だぞぉ」

「離…ッ!」

怒号ごと唇を塞がれる。侵入してきた舌が巧みに口内をまさぐり擽る。次第に抵抗していた四肢から力が抜けていく。

「甘ぇなおめぇの口ん中」

「バカ…ロットがッ」

「もっと食いてぇ」

「…ッ」

耳朶を甘く噛まれつい声が出そうになる。だがいつブルマかトランクスが部屋の前を通るか分からないので、声だけはあげられないと唇を噛み締めた。

「おめぇってマシュマロみてぇだな」

「ッ」

する、と服の中に侵入してきた手が脇腹を撫で上げる。ぞくぞく、と快感が身体中を走り頭が痺れそうになる。

「柔らけぇし、甘ぇし」

胸の突起にカカロットの指が触れた。そこを愛撫される度に喉がひくつく。そして徐々に下肢が膨脹しズボンが窮屈になっていく。
殺す!ぜったいぶっ殺す!

「なんだおめぇ、今日はビンビンに感じやすいんだなぁ」

「だ…まれ…ッ」

「可愛いぜベジータ」

「カカロッ…!」



「パパァ?」



「どけぇぇぇぇ!!ギャリック砲!!!」

派手な音をたてて壁に大きな穴があき、カカロットが彼方へとぶっ飛ぶ。俺は身嗜みを整えるとドアを乱暴に開けた。そこには六歳になる息子が俺を不思議そうに見つめてくる。

「…なんだ」

「あ、ママがこれをパパにって」

小さな手の平いっぱいに色とりどりの包みがある。中身はチョコだろう。

「貰っておいてやるとブルマに伝えろ」

「ねぇパパ、さっきの悟天のパパだよね」

「!」

「遊びに来てたの?」

「あ、ああ」

「そっかぁ、ならこれ渡したかったなぁ」

トランクスが小さな緑色の包みを持っている。

「カカロットにか?」

「違うよ!悟天にあげようかと思って」

瞬間、何故か嫌な予感がした。

「やっぱり直接渡そうっと!」

トランクスはにこにこしながら階段を降りていった。まさか、な。いくら親子でもそこまで似てたまるものか。


「…寝るか」


なんだかどっと疲れた。俺は手に沢山の小さなチョコを持ったままベッドに沈む。
まどろむ意識の中でこちらに猛スピードでやってくる気を甘く感じたのはきっと…。





アトガキ
衝動書きです よ !!
いやぁ焦った!寝てしまった!

駄目ですね私。即席でプロットたてて駄目だな。

うんやはり計画性が大事で す ね !!!

バレンタインなので甘甘にしたかったんだが。なんかギャグの方向性になりましたー(笑)


バレンタインデーのみフリーです(笑)

2010/02/14


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ