†カカベジ†

□VIDEOヲ見マショ!
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なんでこうなっちまったんだろう。




悟空は照明を落とした室内の中で、隣に座るベジータを見た。彼は目を見開き絶句している。震える白い手袋からポップコーンがぽろぽろとソファーに落ちていた。

「…」

「…っ」

密着した二人の間を流れる気まずい雰囲気の中を異色なテレビ音声だけが賑わった。女の喘ぎ声である。ちなみに彼らの視線の先は音声源だったり。


そう。世間一般的にいう【大人のビデオ】だ。


悟空は固まったまま反応を示さないベジータを横目に、ここまでのいきさつを考えた。
確か此処C.C.へ来る途中、偶然ヤムチャに出会った悟空は彼の車の助手席にある青い袋が目についた。

『なぁヤムチャ、それなんなんだ?』

するとヤムチャは何を思ってか「聞くよりは見てみるといい」と悟空に勧めてきたのだ。
悟空も(確かベジータの部屋にデッキがあったな)なんてことを考えて遠慮なくヤムチャに借りた。
どうせ楽しむなら一人より二人がいい。
それは純粋な気持ちだった。

ベジータの元に着いた悟空は早速ビデオを見ようとベジータに持ち掛けた。以外にも彼が了承したので二人仲良く見ていたのだが。

(あれ?でも初めはすんげぇ怖ぇやつだったぞ)

だが二本目を挿入した時、深夜のホラー鑑賞会は一瞬で大人の鑑賞会へと変貌した。

『ぁ、ん…っ!』

「ベジータ」

「…っ」

「なぁなぁベジータ」

「…」

反応なし。ちらりとベジータを見れば、額にうっすら汗をかき、頬を染めて、口をだらし無く開けている。ビデオの中の女優が甲高い声を上げる度に彼の膝辺りが少し動く。

(あ…感じてるんかな)

悟空の視線は目の前の裸体よりも隣のベジータに固定する。
相変わらず彼は固まったままだ。嫌なら電源を消せばいいのに。
悟空は視線を再び画面に向けた。女優は男優の自身を丁寧に舐めあげている。

(…たたねぇ)

逆にこれがベジータだったらと考え…ありえない。俺様な王子様がこんなことをしてくれるはずもない。毎回組み敷くだけでも肋骨の一本や二本覚悟しなければならないのだから。
でも一度かかった都合の良いフィルターは一度見たらなかなか外せなくて。
徐々に女優がベジータへと変貌していく。ちなみに悟空の頭からはすっかり男優が消えていた。

ごくり…

小さな箱の中でベジータが喘いでいる。

そう考えるだけで興奮する。先程まで反応を見せなかった分身に衝動が走る。
しかし、悟空は興奮しながらも幻影を否定していた。なぜなら彼はこんなに簡単に体を開かないし、誘いもしない。
それは例えるなら固く閉じた貝の中の真珠。
王子の許しを何度も請うて優しく触れて、そしてようやく心身が開かれる。

だからこそだろう。幻影のベジータに食い入るように魅入ってしまったのは。

『く、ぁ…っ!ここも、触れっ!カカロット!』

ああなんてことだ、と悟空は嘆息した。聴覚さえもフィルターにやられている。しかしここは開き直るしかない。それはマイペースと称される悟空だからこそ出来たことだった。その時だ。

「…っ」

「!」

すぐそばでベジータの吐息が耳に届く。見れば明らかに彼は欲情していた。床にはポップコーンが置かれ、両腕は彼の体を抱いている。

「トイレ行くか?」

「うる、さいっ」

「辛いんなら行ったほうがいいと思うぞ?」

「…なら、貴様が俺を楽にすればいいだろう」

「…………え?」

ぐいっと胸倉を引っ張られる。

「カカロット」

「は、はは。明日は雨が降りそうだな」

「カカロット」

「ベジ」

激しく唇を重ねられ、一生懸命に舌を絡めてくる。悟空は始め好きにさせていたが、我慢の限界でベジータを押し倒した。
彼の柔らかな唇に噛み付いて、貪るように口内を犯し続ける。やがて背中をどんどん、と叩かれて名残おしげに唇を離した。

「カカロッ…ト!」

主張しているベジータの分身に悟空は触れた。いい加減体の線が分かる服装なのに、窮屈そうなそこは盛り上がっている。

「早、く、しやがれっ」

『早く来てくれっ。もう、我慢できないんだ…っ』

現実と仮想の正反対のベジータが悟空を煽る。しかしこんなに素直なベジータはごく稀で悪戯心が芽生えてしまう。

「なぁベジータ、自分でシてみっか?」

「な!」

「オラ見ててやるよ」

「ふざけるなっ!」

「シたくねぇの?じゃあオラとこのままでアレ見てようぜっ」

「貴様って野郎は…っ!」

「このままだとおめぇ自分で触れねぇもんな!辛ぇだろうなぁ」

「くそったれ!ぶっ殺す!」

「怖ぇよ」

悟空の苦笑がカンに障ったのか、ベジータはよりいっそう腹が立ったようだ。でもテレビから喘ぎ声が聞こえる度にきちんと反応しているので面白い。

『ぁ、カカロッ!もう、きてくれ…ぇ』

「あっちは素直なのになー」

「っ!黙れ!」

四肢を押さえ付けるだけでは物足りなくなった悟空はベジータの首筋を舐める。よほど我慢していたのか、艶めいた吐息が彼の口から漏れた。

「ベジータ…」

「だま…っ」

中途半端な快楽に悶えて、羞恥と怒りで真っ赤なベジータはまるで熟れた苺だ。
やはり仮想よりも現実の方が生々しくて魅惑的だ。それに仮想じゃあ抱きしめれない。

「好きだベジータ」

「貴様…!?」

「オラあんなビデオじゃたたねぇし気持ちよくもねぇ。お前は別だけどな」

「ふん」

「おめぇは?オラだけ」

じっとベジータの瞳を見つめた。するとベジータはふっと笑い、あろうことか。


ボンッ!


「これが答えだ」

テレビを気弾で破壊した。淫らな声と変わって、しゅーっと嫌な音がしている。

「…嬉しいけど、ブルマに怒られっぞ」

「ブルマは貴様と違って度量は狭くないんでな」

「ひでぇよ」

「ふん」

悟空は苦笑しながらもベジータの腕に誘われるままに接吻する。


現実の肉体はやはり愛おしくて生々しくて、ベジータの匂いがした。





アトガキ
元ネタは●ズ様でございます。
すみません、ネタを頂戴したばかりかかなり遅くなりました。
しかも時間かけたわりに短いは乱文だわ。
申し訳ありません!

本当は最後までさせるつもりだったんですが(笑)あえてスンドメ(笑)


こんな作品でよかったら、カズ様お持ち帰り下さいませ。



2010/04/12


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