†カカベジ†
□蜜夜の牡丹
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大体、俺は初めから乗り気ではなかった。旅行なんて行きたい奴らだけで行けばいい。何で遠出なんかせにゃならんのだ。地球人の奴らは相変わらず面倒だぜ。そうブルマに言ってやったら
「アンタ、本当に戦闘以外ダメな男ねぇ」
、となんと溜め息つきやがった!それではまるで戦闘しか能のないどこぞのくそったれ野郎みたいじゃないか!ふざけるな!
俺様は王子だぞ!勉学、戦闘、容姿全てにおいて一流だ!そんな俺をつかまえてダメな男だと!?ふざけやがって!
ブルマ貴様、俺の妻でなければ今頃死んでいるぞ!
「もうベジータ、アンタいつまで拗ねてるのよ」
「黙れ。拗ねるなんて餓鬼みたいな真似をこのベジータ様がするわけないだろう」
「せっかくの旅行なのよ?楽しまなきゃ」
「ふん」
ブルマは溜め息をついた。先程から何度この会話が繰り返されたことだろう。ベジータの気性の荒々しさは百も承知だが、いっそここまでくれば只の子供の我が儘のように思えてくる。
(最初、話を持ち掛けた時は拒否したくせに、後から色々と文句をつけてきたのはどこの誰なのよ!)
…最終的にはC.C.が所有する南の島になったのだが。しかもホテルは最上階以外は認めないとかなんとか。余談だが、このホテルはプライベートという事もあり最上階は三階だ。
(ほんっと、根っからの帝王気質なんだから)
ブルマは旅室に運んだ荷物を片して、ホテルのベランダに設置されている椅子に足を組み座っている不機嫌なベジータを見た。
普段と違い、白いシャツとジーパンといういたってシンプルな格好はとても似合っているのに表情が台無しにさせている。勿体ない。
「…はぁ」
「大体な、俺は聞いていなかったぞ!」
ベジータがびしっと外の浜辺を指差した。白い砂浜で遊ぶ幾つかの人影の中には愛しの息子が遊んでいるのだろう。親友と親友の家族とともに。
「カカロットの野郎が来るなんて!!!」
正確には孫一家だ。
ブルマは頭を抑えた。こうなることが分かっていたから、あえて黙っていたのだ。わざわざ悟空達と到着時間をずらして、ギリギリまで分からないようにした。案の定先に到着していた悟空達を見てベジータは勢いよくびしり…と固まったが。
「これで俺が帰らなかっただけ寛大だったと感謝するんだな」
「偉そうに言わないでよ!アンタ孫君の顔見るなり空港吹っ飛ばしかけたでしょうが!」
「ふん。あれは奴が悪いんだ。下級戦士の分際で気安く俺に触りやがったからな」
「ほんっと、アンタ達サイヤ人の戦闘好きには呆れるわ。いっそ戦闘と結婚すればいいんじゃないの?」
「サイヤ人を馬鹿にするな」
ぎろり、と威厳を滲ませる視線を向けられた時だ。
「おいベジータ!一緒に泳がねーか?」
ふよふよと空に浮いているのはまさしくベジータが敵対視しているカカロットこと孫悟空だ。蟹頭も含め全身は海水に濡れていて、元々橙色だった水着は更に濃くなっている。
「トランクスもおめぇと遊びたいって」
「断る。餓鬼の相手なら貴様でも十分だろうが」
「つれねぇなぁ。気持ちいいぜ?」
「しつこいぞバカロット。さっさと向こうに行け。目障りだ」
「あ、おめぇもしかして泳げねぇんか?」
ぶちり、と何かが切れた音がした。ブルマはあちゃーという感じで天井を仰ぐ。ちらりとベジータを見れば、怒りにぶるぶると体を震わせていた。
自尊心をいたく傷付けたから当然といえば当然なのだが。
それにしても、あのベジータのプライドをああやって傷付けて平気な悟空はやはり凄いと感嘆してしまう。
「ふざけるな!!貴様、誰に向かってそんな馬鹿げたこと言ってやがる!」
「じゃあ勝負しようぜベジータ」
「上等だ。今日こそ貴様を負かしてやるぜカカロット…!」
(…本当、アンタ達の仲良さってはた迷惑よね)
そう思いながら、ブルマは荷物から黒い水着を取り出した。
そうして日は暮れて、群青色の空には淡く輝く三日月が上っていた。
ちなみに遠泳勝負は互いに引き分けで、それでは気に食わないと憤ったベジータが戦闘を開始しようとして…ブルマに「ご飯よ。着替えてきなさいよ」と止められた。
で、現在にいたる。
部屋から着替えてきたベジータの格好を見てブルマは黄色い声をあげた。対するベジータは今にも血管が切れそうである。
「やっぱりあたしのセンスは最高よねぇ!素敵よベジータ!アンタ肌白いから群青に牡丹の刺繍が似合うと思ったのよねぇ!帯はやっぱり黒で正解!」
「わぁパパかっこいい!」
「………ブルマ、貴様これは何の真似だ」
「何って、浴衣っていうのよそれ」
「うるさい!俺の着替えはどうした!」
「だからそれよ」
バーベキューを楽しみながらブルマがしれっと答える。ベジータは行き場のない怒りをぶつけるかのように、がぶりっと肉に噛みついた。
「おいチチぃ、なんかこれすーすーすっぞ」
ベジータの背後から悟空がひょっこり表れる。ベジータは威嚇しようと隣を向いて、固まった。
悟空が着ていたのは胸元がはだけた焦げ茶色の着物で、足下から金色の竜が火を吹きながら昇っている。黒い帯は前で大きく蝶々結びされていた。
ベジータは不覚にも一瞬見惚れた。だがしかし、そんな己を直ぐ様叱咤する。惨め過ぎて胸がむかむかしてきた。
「ん?お、ベジータもこのすーすーするの着てんだな」
「!」
悟空が無邪気な笑みを浮かべた時だった。
そこにいた誰もが、唖然とした。
「おいベジータ!?」
ベジータは部屋へと飛んで帰ってしまったのだ。ブルマは内心、ホテルの耐久性が高くて本当によかったと嘆息した。そして目をぱちくりさせている悟空に言ったのだ。
「悪いんだけど、孫君。ベジータのこと見てきてあげて?」
「オラがか?」
「お願いできるかしら?」
「ああ!分かった。オラちょっと行ってくる」
遠ざかる悟空の背中を見ながらブルマはまたもや嘆息した。
胸の高鳴りがうるさくて堪らない。いい加減やまらないと耳がおかしくなりそうだ。
そう考えながらベジータはベッドに横になっていた。瞼を閉じれば、先程の悟空の姿がまざまざと蘇る。
「…くそったれめ」
「なにがくそったたれなんだ?」
耳元で囁かれ反射的に離れようとしたが遅かった。ベジータの上に悟空が馬乗りになる。
「な!」
「へへっ、瞬間移動使っちまった」
「ふざけるなカカロット!どけ…、っ!」
喉が仰け反る。顎を生温いものがなぞったのだ。それが悟空の舌だとベジータが理解するのに数秒もかからなかった。
「ベジータ、なんかすごく色っぺぇ」
「な、き、貴様っ…!」
「オラ欲情しちまった」
もちろんベジータが了承するはずもなく抵抗したが、悟空に手首を頭上に固定されてしまった。ベジータは思いつく限り罵倒したが悟空は無視、そしてベジータの着物を口を使ってはだけさせる。一見、まるで犬のようだ。
「殺してやる………っ!!」
「そう怒んなよ、いつもみたく気持ちよくしてやっから」
「や、やめろカカロット…!!」
悟空の空いた手がベジータの下肢へと伸ばされる。ベジータは必至に抵抗した。しかし悟空の不意討ちに力が抜けてしまう。
悟空が舌で胸の愛撫を始めたのだ。赤い突起を甘く噛みながら、時折わざと音をたてて吸ってやる。ぞわぞわと這い上がる快感にベジータは目をぎゅっと閉じて唇を噛み締めた。強く噛みすぎたせいか唇が切れて血が滲みでる。悟空は生唾を呑んだ。まるでそれは一差しした口紅のようで淫らだ。
「…く…っ」
「ベジータ…」
悟空がベジータの唇を塞ぐ。逃げ腰になる舌を必至に追いかけて、歯裏をちろちろと舐めてやる。するとベジータからはくぐもった快楽の吐息が漏れだした。
悟空はもういいだろう、とベジータの手首を纏めていた手でベジータの胸を愛撫する。そして口内を蹂躙しながら、突起の先端を擦った。
ベジータは胸への愛撫が嫌いだった。本人曰く女みたいで気持ち悪いらしい。だが、胸を擦る度に走る快楽が大きいことも悟空は熟知していた。
そう考えていると背中を叩かれる。名残惜しげに唇を離せば、銀色の糸がまだ繋がっていた。
「ベジータ」
「はぁ…っ、…ふ、ん。するなら、さっさとしやがれ…っ」
お許しが出た。
悟空は嬉々として胸への愛撫を口で開始する。そして右手で、ついにベジータの半身に触れたのだが…。びくり、と固まったベジータをまじまじと見つめた。
「…ベジータ、おめぇ、パンツ履いてないんか?」
「!う、うるさい!!貴様だって履いてないだろうが!」
「あ、そっか。そうだよな」
「何一人で納得してやが、ぁっ…!」
びくりとベジータの腰が震える。目線を下げれば、群青色の生地は股の部分が異様に濃く、はだけた裾から覗く白い太ももはほんのり赤い。あまりにも扇情的だ。
ぽたり…と白い先走りが悟空の手を滑り落ちる。
「ベジータ、おめぇ今すげぇ格好だぜ?」
「だま、っ…!ん、く…っ!」
ぐちゅぐちゅと先端から溢れる白濁を指に絡めながらベジータを根元から擦る。堪らなくなったのか、ベジータの喉から甘い喘ぎが漏れだした。
「おめぇすげぇ汁出てんぞ?気持ちいいんか?」
「ふ、ん…はぁ…く…っ!」
「すっげぇなぁ、びくびくしてる」
わざと水音をたてて弄ってやればベジータの顔が真っ赤に染まる。熱に潤んだ目尻から快楽の涙が溢れた。
「カ、カカ…ぁっ、もっ」
「早ぇな。いいぜ、一回ヌいちまったほうが楽だかんな」
悟空が手を激しく動かす。ぐちゅぐちゅ、と淫乱な音がベジータの耳をも犯す。
ベジータの腕が悟空の背中に回された。ぎゅっと掴まれ、よりいっそう密着する。悟空の前髪から頬へと汗がつたう。
独特の匂いが互いの性欲をさらに煽った。
悟空は、ベジータの半身を、口に含んだ。
「や、やめ…ろっ!いやだ、ぁ、カカ…ぁ!」
「だひへもいーほ」※出してもいーぞ?
「しゃ、しゃべる、なぁ…っ、あ、もうっ、は、ぁあぁぁっ」
悟空が強く吸ってやる。それに導かれるように、ベジータは勢いよく口内に出した。ごくり、と悟空の喉が弛緩する。
「いっぱいでちまったな、ベジータ」
「…黙れっ、貴様だけはっ、ぶっ殺してやるっ」
荒い息を吐きながらもベジータはぎろりと悟空を睨み付けた。悟空も悟空で、ベジータの乱れた肢体、はだけた着物、のぞく上気した肌に、むくむくと己が半身が立ち上がるのを感じていた。
「なぁベジータ」
「………ちっ。……さっさとしやがれ」
悟空の涙声にベジータは悟ったらしく、目をゆっくりと閉じた。悟空は微笑みベジータを優しく抱き締める。
「愛してるぜベジータ」
「ふん、虫酸が走るぜ…」
濃厚な蜜夜の先は、二人だけの秘話である。
アトガキ
いや本当えと技量なんて皆無です。
ちなみにブルマさんは全てを悟っているので寝室はまた別室をとりました(笑)
遅くなりましたが 精一杯頑張りました!
よろしかったらお持ち帰り下さいませ!
では 皿田様、相互&リクエストありがとうございました!!
2010/07/30/