†イナイレ†

□SweetHanney
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円堂は至極真面目に考えていた。
それは彼にすればとても真面目な悩みで、周囲からすれば「ごちそうさま」と言われる事間違いなしの内容だった。

(どうしたら、鬼道にもっといっぱい好きって伝わるんだろう)

今、円堂の思考を占めているのは自分の恋人である鬼道有人の事だ。彼は別名「天才ゲームメーカー」「フィールドの帝王」等と呼ばれている。しかし円堂にはそのような名称など何の効果もない。
円堂の中の鬼道有人とは、あくまで可愛い大好きな恋人でしかないのだから。
だからこそ円堂は悩んでいた。

(鬼道…)

可愛い恋人は、円堂が好きだと伝える度に自嘲気味に微笑む時がある。それは彼の過去が そうさせているのだと円堂自身理解してはいるのだが…。
やっぱり鬼道には、素直に受け取ってほしい。
ならどうすればいいのか。
そこで円堂はもっと好きだと伝えればいいと思いついたのだ。
だが、いざとなってどうすればいいのか分からない。だから練習を終えて自室に戻った円堂はベッドの上でうんうん悩んでいた。

「あー!このままじゃ練習に集中できない!明明後日はせっかくのアジア予選初戦なのに!」

「何かあったのか?」

「うわぁっ?!」

戸口から聞こえた声に円堂は文字通り跳ね起きた。振り替えれば、月光に照らされた見慣れたゴーグルと赤マントが視界に映った。愛しの恋人の姿に円堂の胸が高鳴る。

「一応、ノックはしたんだが」

「ごめんごめん!それにしても鬼道、こんな時間にどうしたんだ?」

時計を見れば9時を過ぎている。
ふと、鬼道の頬がほんのり赤く染まったような気がした。二人の間を沈黙が流れる。
先に口を開いたのは鬼道だった。

「…最近」

「ん?」

「あまり、二人きりになれていなかった、だろう」

「え…」

「っ、邪魔したな円堂!おやす」

ぐいっと華奢な肩を掴み寄せ抱き締める。鬼道が息を呑んだのが気配で伝わった。

「鬼道可愛いすぎ」

「…男に使う形容詞じゃない」

「しかたないさ可愛いんだからな。大好きだ鬼道」

鬼道を正面に向けさせて、青い彼のトレードマークを外した。あまりの綺麗さにぞくりとする紅い瞳が現れる。

「綺麗だ」

「耳元で、喋るなっ」

くすぐったさに震える鬼道が可愛くて、円堂はわざと耳元で囁いた。その度に潤んだ瞳が非難してくるが、逆にそれは円堂を煽るだけだ。

「さっきまで俺、鬼道のこと考えてたんだ」

「俺のこと?」

「どうしたら鬼道にたくさん好きって伝わるかなって」

瞬間、鬼道の顔が林檎のように赤く染まった。円堂は危うく熟れた頬を味わいそうになり自制する。鬼道のこういった無意識の可愛さは、時として円堂を刺激してしまうのだがきっと彼は気づいてないのだろう。

「色々考えたんだぜ?もっと口で言うとか、サッカーで伝えるとか」

「…ふっ、やはりあくまでお前はサッカー馬鹿というわけか」

ふいに、円堂の胸元あたりを鬼道がそっと掴んだ。その仕草に円堂の胸はまた高鳴る。いつか血圧が舞い上がり死んでしまうのではないか、と不安になってしまう。
だがそんな円堂の考えを知らぬ鬼道は、なんと自らの腕を背中へと寄せた。

「き、鬼道っ?」

「…心配するな。お前の気持ちは十分すぎるくらい伝わっている。逆に、返してやれなくてすまない」

「なに言ってるんだ!鬼道の気持ちは十分伝わってるって!」

「だが、それでもまだ足りない。…だから俺も少し、頑張ってみようかと思う」

交差する視線。紅い瞳に見抜かれて円堂は不覚にも魅入ってしまった。
徐々に近付いてくる紅い瞳。気がついた時には…。

「円堂」

唇に触れた柔らかな感触。
固まってしまった円堂が少し目線を下げれば。

「…今はまだ、これで精一杯だ」

可愛い可愛い恋人が耳まで真っ赤にしていて、自分の服を掴んでいるものだから。

「〜〜っ、鬼道大好きだ!!!」

円堂はたくさん鬼道に自分の気持ちを伝えたくなった。







アトガキ
泪様より「甘甘な円鬼」と相互記念リクエストを頂いたので、はりきって頑張ったはいいものの。

見事玉砕(ちーん)

どんだけキャプテン鬼道さん好きなのってね(笑)ちなみに後日談、らぶらぶのあまり不動にキレられる予定。

では泪様、この度は相互ありがとうございました!
これでよろしければお持ち帰り下さい!


2010/07/27

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