†@ラス†

□空模様、君模様
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窓際でただジッと外を眺めている蒼を見つけた。
ゆっくりとその姿に近付けば、気配を感じて振り返り俺だと分かると笑顔を向けた。


「何をしている」
「…雨、止んだなぁって思って」


ジャンクヤードに存在するとライブは、俺達が所属するエンブリオンだけとなった。それはエンブリオンがジャンクヤードの勝者だと言う事を意味し、同時にニルヴァーナヘの道が開かれたと言う事を意味していた。
最後の壁であるブルーティッシュを倒した直後、止む事を知らなかった雨がピタリと止み、姿を隠していたサハスララに聳え立つカルマの塔はその全容を明らかにした。

雨の降らないジャンクヤードが珍しいのか、いつまでもぼぅっと窓の外を眺めているシエロ。
俺は何も言わずにシエロの隣りへと腰を下ろせば、甘えるようにして俺の膝の上に跨り、そして再び窓の外を眺めていた。
ギュッと後ろから抱き締めて首筋に顔を埋めれば、シエロの甘ったるい匂いがする。元々甘いものが好きな所為もあるのか、いつからかシエロはこう甘い匂いを漂わせるようになった。


「ゲイルー…」
「どうした」
「雨、止んだのに…空、暗いままだな」


俺以外の4人の記憶では空は『蒼い』色をしているらしい。
雨を降らす雲、それに覆われたジャンクヤード。今のジャンクヤードには雨は降ってはいない。いつかその蒼い姿を見せてくれるのでは無いかと、シエロは窓際でじっとそれを待っているようだった。

それでも雲は晴れる事無く截ち込めたままで、一向に姿を現さない青い姿にシエロは溜め息を零していた。


「雨が上がったらさ、綺麗な蒼い空が見えて、そんで七色の虹が架かるんだって。俺、見てみたかったな…」


ガックリと肩を落とすシエロ。
幼い子供のようなその反応に、落ち込むシエロには悪いと思うが何処か可愛さを感じてしまう。サーフもヒートもアルジラも感情と言うものにとうに目覚めていたが、シエロ程に表情がクルクルと変わるものはいない。

俺自身も鉄面皮と言われるくらいに表情に乏しいものだから、シエロの感情の移り変わりを見るのが楽しくて仕方が無いと思うときがある。

例えるならば、シエロの表情も空模様と同じだと思う。
喜んでいればそれは晴れ模様となるし、今の様に落ち込んでいる時は曇り模様。怒りを露わにすれば荒れ模様となるし、変化の激しい空のような感じだ。


「ニルヴァーナに行ったら、蒼い空見れるかな?」
「お前の瞳の色のような空か?」
「見てみたいなー…空一面に広がる蒼」


その蒼い空が見れたら、シエロの空模様もきっと綺麗に晴れ渡ってくれるのだろうか。それが見れるというのなら、俺も願おう。ニルヴァーナが綺麗に晴れ渡る世界である事を。そして、シエロがいつも笑っていられる世界である事を。

再びきつく抱き締めて、シエロの頬に口唇を寄せれば擽ったそうな顔をして振り返る。お返し、と自身の口唇に当たる柔らかい感触に瞳を閉じればシエロの頭に手を回しそれを深いモノにした。

気付けば上機嫌のシエロに、俺の心も晴れ渡っていくような気がした。


俺達の歩む道が、綺麗に晴れ渡る空でありますように。



後書き
NirvaaNa -ニルヴァーナ-/桐岾様から頂きました、ほのぼの甘系の二人に私が癒されました←
私的にシエロの心情を天気で示したり、さりげなく参謀が匂いすんすんと犬化している所がかぁなぁりぃ好きです←
もう本当にありがとうございました!
これからも宜しくお願いいたします!

2011/1/7

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