記憶のカケラ
□『無言電話』
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「・・・・・・・・・・・・」
「うぅ・・・・・っく・・・・・ひぅ・・」
「・・・・・・」
「・・ぅぅう・・・・」
「・・・」
「・っく・・」
「アレン・・・・・・」
「神田ぁ・・・・・っく・・・・神田だけは僕を置いていかないでくださいね」
「はぁ?何言っていやがる」
長い沈黙の末返ってきた言葉は神田には理解できない言葉。
―置いていかれるのを恐れているのはいつだって俺のほうなのに・・・
「神田・・・っく・・・」
「・・・・・・」
「・・ぅう・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
こんな無言電話もたまにはいい。
長い沈黙もなぜだか隣にいる感覚。
「神田・・・・・・ありがとう」
「・・・・・・早く寝ろよ、アレン」
無言電話それはそれでいいのかもしれない。
なにがあったかはわからないけど、
吐息が、微かなしゃくりが、なぜだかくすぐったいような感覚だ。
だからあえて何も喋らないで声を澄ます。
そうすれば愛しい恋人が隣にいるから。