記憶のカケラ
□『地図にもない場所』
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「俺は、ここに来るべき人間だったんだな。仲間を見殺しにした最低の人間・・・・・・」
次々と溢れ流れる涙を少年の手が拭った。
「泣かないでください。ここは僕とあなただけの世界。僕はアレンです。彼方は?」
「神田 ユウだ」
「彼方が見殺しにした仲間のお名前を聞いてもいいですか?」
「・・・・・・ラビ」
青年はポツリと答えた。
だが、青年は笑ったどんなガラス細工よりも儚い笑顔で。
―ここは少年と青年二人だけの世界。
裏切り者の世界―
ここにくるのはいつも自分の道を見失った人。
そう。この少年や青年のように――――。