愛すべき Drunken!
「酔えねー・・・・・」
片手には酒。
机の上にも酒。
床一面にも酒。
俺は今酒に溺れている。
理由は簡単。嫌なことがあったから。
それをいっときでも忘れたくて酒を大量に飲んでみても、どうやら酒に強かった俺は中々現実を忘れることはできない。
まぁ、今忘れたってどうせ明日になったら憂鬱な日常って奴が俺を襲って、我慢しなきゃなんねぇーんだろうけどよ。
あぁ嫌だ・・・。
なーんで俺がこんなイライラしなきゃなんねーんだ!
会社の同僚やら、上司やら、その他色々もう何もかもが俺をイライラさせる。
イライラしてんのに大笑いしたい気分だ!
…………………………それはちょっと危ないか?
まぁ何でもいい。少しはこのイライラが無くなればいいとさらに酔えないのに酒を浴びるように再び飲みだした。
「もうそろそろ止めとかないと急性アルコール中毒になっちまうぞ?」
そう言ってやんわりと俺の手から酒を奪う。
「何しやがんだ!返しやがれ!!」
酔えはしないが、無理やり取られたら誰だってイラッとする。
例えそれが自分のことを心配してくれているのだとしても。
ただでさえ今のおれは日々の鬱憤やらストレスやらでささくれているのだから、ちょっとしたことでキレる恐れがあるのだ。
だが、俺から酒を奪ったこいつはそんなこと心配する必要はない。
なぜなら、キレて手がつけられなくなった俺よりも何倍もこいつの方が強いから。
どんな時でも俺を止めてくれる唯一の存在なのだ。
「まったく…酔えもしねぇーもんをいくら飲んでも意味ね―だろうが。そんなもんよりも現実を忘れられる方法があるじゃねーか」
こいつとは高校からの腐れ縁で、どう間違ったらこうなるのか、俺もこいつも男のはずなのにセ.フレなのだ。
男に突っ込まれるなんて屈辱以外の何でもないのに、こいつとならまぁいいかと思わせる何かがこいつにはある。
じゃなきゃ俺が、俺が…掘ら・・・・・れ・・・・・なんて状況あるはずねぇ!
うん、まぁ………それくらい俺はこいつを信頼して、る…のか?
酔ってないと思っていたが、どうやらちょっとは酔っていたようだ。
酔ってるから、俺はこいつの薄っぺらいふざけた誘いに乗ってやるんだ。
決して素面じゃない!
「はっ!そこまでできんのか?」
煽って挑発してからかって。
俺らは酒の散乱するそこから離れ、寝室へ移動する。
少しでも現実を忘れるために・・・・・・。
〜END
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