銀
□帰路
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*帰路*
「あは。やっぱり生きてらァ」
血溜りに転がり煙草を吸う俺の耳に。
能天気な声が降ってきた。
目を開けると、予想通りの顔。
「そっちは、…どうだった?」
「あまり、変わりませんよ。生きてても、皆重傷だ」
「…の割にはお前は元気だな…」
「当たり前でしょう?俺を誰だと思ってるんでさァ」
そう言って、俺に手を伸ばした。
俺は煙草を投げ捨て、右手を差し出す。
「そっちは」
動かさない俺の左腕を、顎で示す。
「無理。痛え」
一瞬、総悟の眼が細まった。
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「アンタ、馬鹿でさァ」
「そうかもなあ」
総悟に肩を貸して貰いながら、屯所までの道を歩く。
どうやら左足も少しキている様だ。半ば引きずる様になっている。
「近藤さんに、心配かけて。…副長失格でさァ」
「悪かったよ」
責められる事を辛いなんて思わない。