□返事も聞かない
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士道不覚悟って。
いや、ちょっと待って下さいよ。
俺生きてますってば。
幽霊の類が嫌いなアンタだ、分かってやったでしょう。
ああ、やっぱ死んだ方が楽だったんじゃないの、コレ。


*返事も聞かない*


「山崎ィ、勝負しやがれ」

ちょっとした休憩時間に一人、素振りしていたら隊長が声を掛けてきました。
断われる訳も無く、付き合わされたミントンの試合。
完膚無きまでに負けて、アイスを二個ばかり奢らされました。

「俺、怪我人なのに…」

一緒に買って来た缶ジュースをすすりながらぼやく。
退院したとは言ってもまだまだ通院してるし、隊服の下には包帯とガーゼだらけだ。
多大なハンデを背負っていたのだと暗に示してみる。

「俺もだぜィ」

隊長が右腕を捲り上げる。
巻かれた包帯が痛々しい…とは言えない。
アンタ、さっきラケットを右で振り回してたじゃないですか。
既に平らげたアイスの棒を口で回しながらニヤリ笑いを消さない上司に、溜め息を吐くのはやむを得ないだろう。
温くなる前にと缶を思いきりあおる。
それとほぼ同時くらいに隣に腰掛けていた隊長が動いた。
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