□無意識に
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*無意識に*

意外。
思わず笑顔で会話する二人を遠巻きに眺めた。
自分が近付くとピタリと話を止める。

何か、ムカついた。

その内の一人を呼び戻し、一緒に屯所までの道を歩く。

「何だその顔」

問われてから思う。
そんな妙な顔、してただろうか?

「何がですかィ」

分からなかったから、そう聞いたのに。
とても面白そうに笑われた。
細められた眼が非常にイラつく。
横を歩く人を思いきり睨んだ。

「嫉妬か?」

からかい混じりの言葉に、何となく納得して黙っていると、隣の笑い声が大きくなった。
一体何が楽しいんだ。
その顔と声を止めたくなって斬りかかってやる。
…照れ隠しとしか、思われない気もするが。
第一撃は空を切った。
数歩離れた相手は、刀に手もかけていない。
刀を反し、そのまま瞬間的に距離を縮めた。
ガキッと鈍い音。
どうやら鞘で止められた様だ。
少し顔を上げると案の定、笑った眼と眼が合った。

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