□あなたに特別を!
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普段から土方は沖田からの様々な悪戯を受けている。
寝ているところを襲撃、自室に罠、食べ物に劇薬、なんて事は日常茶飯事だ。
よって。
朝、着替中にいきなり現れて。
「あげます」と、可愛らしく包装された掌サイズの箱を差し出して。
にっこりと微笑などを浮かべられたら。
「いらん」と土方が即答してしまう事は仕方がない事なのだ。
たとえ、今日が恋人達の記念日。
バレンタインデーだったとしても。



*あなたに特別を!*



「いらない、ってのはどういう事ですかィ」

沖田が纏う空気が変わった。
声は明るく、口元は歪んだまま。でも眼が笑ってない。
大抵の人間はこの時点でビビり沖田の言う事を聞く。
だが、土方はそれに含まれない。
沖田からのプレゼント。
怪しい。怪しすぎる。
何もない訳が無い。
素直に受けとれば今の気まずい雰囲気からは解放される。
しかしそれと同時に命の危険に晒されるのは御免だった。

「いらないもんはいらねぇよ」

入り口に立つ沖田の横をすり抜けてそのまま廊下に出ると、渋々という様に後を着いて来た。
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