□遅刻したサンタ
1ページ/5ページ


職とやらに就いている以上、二人きりで甘ーい時間を、なんて無理だと分かっている。
プレゼント等も高望みはしない。
いっそいつもの如く斬りかかって喧嘩ってのがありだと思ってた。
それでも。
同じ所に住んでいるというのに、その日丸一日、会えもしないのはあんまりじゃなかろうか。


*遅刻したサンタ*


今朝方、姿が見えないので探していたところ、バッタリ出会した近藤さんが教えてくれた。
どうやら土方さんは城に出掛けていて、今日は帰って来ないらしい。
残念だなと笑ってくれる近藤さんに清々しまさァと返すが、気分は一転して氷点下。

「明日にゃ帰って来るさ。今晩はトシの分も騒ぐぞ!」

俺の様子に気付いたらしく、近藤さんは俺の頭を思いきりかき混ぜて、そう言って笑ってくれた。
その後も何人かに声を掛けられたけど、俺が礼を言えば皆足早に去って行く。
当たり散らされるのは勘弁と思ったようだ。
餓鬼だと言われようが、仕方ない。
いくら仕事だと知っていても、理解と納得は別物だ。
こういう記念日くらい愛しい恋人と過ごしたいと思うのは普通だろう。
八つ当たりするにも普段その被害を被る人物、たった今自分が切望してる人と同じで。
結局堂々巡りな訳だ。

*
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ