お題
□別に取って喰いはしないさ。
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私は大沢結祈。
いたって平凡な高校二年生。
……であったのに…。
運悪く、保健室で伊達政宗に捕まってしまった…。
そして今、ガッチリ手首を握られている。
ホントついてない…。
頭痛さえなければ、今頃クラスメイトと授業を受けて、平凡な毎日が送れていたであろうのに、この男…、伊達政宗に目をつけられたとなれば、平凡な毎日なんて送れないであろう…。
「ううぅ…」
「What?どうかしたか?…なんか、猫がうなっているみてぇだな」
伊達政宗は私のことが面白いのか、人の悪そうな笑みを浮かべながら私の方を見ている。
(…てか、いい加減手を離してほしいんですけどー!!)
「あの!いい加減手を離してくれませんか!手首がすごーく痛いんですけど!!」
「チッ、しかたねーな」
(この男、舌打ちしやがったよ!)
渋々離してもらって、手首を見たら真っ赤になっている。
(どんだけ、馬鹿力で握りやがったんだ!)
怒鳴りたいのは山々だけど、もっと酷い目に遭わされそうな気がして止めた。
「で、言うこと聞くって、一体何をしたらいいんですか!?」
そう聞いたのはいいんだけど、さっきの続きをするから相手になれって言うのは勘弁だからね!そんなのぜーったいイヤだし!
「なかなか気の強い女だな。気の強い女は嫌いじゃないぜ。……よし、お前今からオレのKittyな!」
「はぁ!!」
何がKittyですって〜!!
私はあんな二頭身の猫じゃないわよー!
第一、『オレの』ってどういうこと!
「オレが呼んだら、ちゃんとオレのとこ来るんだぜKitty?」
伊達政宗は、目を細めて口の形を三日月型にしている。
癪に触る。
「なんで、そんなことしなくちゃいけないのよ!」
「それは、お前がオレのペットだからだ」
それを聞いた瞬間、頭の中に鐘がガーンと鳴り響いた。
私は、伊達政宗のペットという名の下僕になったようだ…。
打ちひしがれていると、いつの間にか伊達政宗に腰を引き寄せられていた。
そして、耳元で話し始めた。
「なかなか、オレのペットになんかなれないぜ?運がよかったな、Kitty」
ギャー!耳元で喋るなー!鳥肌たったわ!
ってか、近い、近すぎるぅー!
ボンって音がしそうなほど、真っ赤になっている私に、伊達政宗は追い討ちをかけるようなことを言ってきた。
「おいおい、コレくらいで赤くなるなんてウブなヤツだな…。ペットなんだから、コレくらいのスキンシップくらいどうってことないだろ?」
「ひいぃぃ」
別に取って喰いはしないさ。
(今はな…)
(お、悪寒が……)