お題

□触れた唇、ため息の意味。
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私は大沢結祈。

最近好きでもなかった、伊達政宗との関係が変わってきたような気がする…。


前まではペット扱いだったのに、最近アイツは、私のことを優しい目つきで見ることが多くなった。

(まぁ、相変わらずこき使われている時があるけど…)

たぶん、政宗って呼べって言われた日からだ。

それに私も、伊達政宗のことがイヤだったのに、よく一緒に居るようになったせいかわからないけど、前ほどの嫌悪感はない。
どっちかというと、一緒に居るのが心地よくなってきたかもしれない…。


今だって一緒に居るし…。





「おい、結祈!よそ見してる場合じゃねえぞ!」

そう言って政宗は、横を向いてた私の頭を両手で持って、グイっと正面に向けさせた。

「痛っ!!今、グキッって音したよ!!ちょっとひどくない!!」

「お前がよそ見してるのが悪いんだろ!?
せっかくオレが付き合ってるのに」

「別に付き合ってって言ってないじゃん!
そっちが勝手に…」
「Ah!?何だって!?」

「い、いえ…」

ギロッと睨まれて何も言えなくなってしまった。

(アンタ…、その睨みで人殺せそうだよ…)

と心の中でつぶやく。

ところで、なぜこのような状況になっていると言いますと…。







いつものごとく、休み時間になったら私のクラスに政宗が来るのが、すっかり私のクラスの日常になってしまっていた。

今日も政宗が、私のクラスにやってきた時のことだ。

4時間目が英語の授業で、前回の授業の時にやった小テストが返ってきたのだ。


結果は、一桁に近い点数…。
(あぁ…、今回もヤバイ点数…)


他の教科はこんな悪い点数を取ることはないんだけど、英語だけは壊滅的だ…。

(だって、英語苦手なんだもんなぁ…)

そんな点数のテストを、私は授業が終わったのに、あろうことか机の上に置きっぱなしにしておいてしまったのだ。

それを、休み時間になってすぐにやってきた政宗に見られてしまったのだ。

(私のバカー!!何で机の中にしまわなかったのよー!)

そう思ったところで後の祭り…。

政宗は、そのテストの点数を見るなり顔をしかめて「この点数はなんだ…?オレが教えてやる」

と言って、早速こうやって放課後、教室で勉強しているのである…。







「オマエ、いつもこんな点取ってるのか?」

呆れた表情を浮かべながら、政宗が聞いてきた。


ちなみに私の机の前の席に、政宗が後ろを向いて座っていて、私の机に肘をついて、手に顎を乗せているので、顔がヒジョーに近くにあるという状況だ。

「いつもってか…。だって英語苦手だし…」

「まあ、オレと一緒に居るからには英語が少しくらいできるようになってもらわないとな」

「へ?なんで?」

政宗が言った意味がわからなくて、首をかしげていると、政宗の顔が近づいてきた。

「It's such a thing…」(こういうことだ)


温かいものが唇に触れた…。


「はぁ…」




触れた唇、ため息の意味。
(ヤバイな…。これ以上のことがしたくなっちまう…)
(ちょっ…。今、キスされたんだよね…?
でも、なんで…)
 

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