お題
□なあ、捕まったのはどっちだ?
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<政宗視点>
最初は、いつもの女達のように、飽きたら捨ててやるつもりだった…。
保健室でいつものことをしてたら、アイツが入ってきた。
最初は無視して、事を続けるつもりだったんだが、アイツがおもいっきりこけた音がして、続ける気が失せた。
邪魔されてムカついたから、勢いよくカーテンを開けると、アイツが慌てた表情をしていた。
一目見て、オレ好みのCuteな顔してたから遊んでやろうと思い、一緒にいた女をその場から追い払った。
顎をつかんで顔をよく見たら、やっぱり整った顔をしていた。
とっさに、言うことを聞けと言って手首を握ってた。
痛いって文句を言ってきたから、離してやったけど、こいつ中々気が強そうだと思った。
気の強い女は嫌いじゃない。
「ううっ…」ってうなってる姿が猫みたいだったから、『Kitty』って呼んでやったら不満そうな顔をしやがった。
オレがこう呼んでやったら、今まで嫌がる女なんていなかったから、ますます興味がわいた。
今まで見てきた女達は喜んでたのにな。
腰を引き寄せて耳元で話すと、真っ赤になって慌ててやがった。
男に全然慣れてないみたいだ。
こんなにCuteな顔してんのに、今まで男と付き合ったことねぇみたいだな…。
(おもしれぇ…)
この時は、楽しませてくれるペットが手に入ったと思っていただけだった。
けど、だんだん大沢結祈と一緒に居るのが心地よいものになってきた。
結祈は、今まで遊んできた女達と違った。
今までの女達は、オレの顔や体目当てで色目を使ってきていた。
結祈といえば、オレのことが嫌みたいで、いつもうっとうしそうな物を見る目を向けてきた。
オレは、このなかなか懐かない猫を懐かせてやろうと、休み時間のたびに結祈のクラスに通ったんだが、ちっとも懐きやがらねぇ。(何でだ?)
まるで、ゲームをしているみたいで楽しい。
こんなワクワクした気持ちになるのは初めてのことだ。
Lunchのパンを買ってくるように頼んだ時、給水塔のところにいたオレに向けて、下から睨んできた結祈の顔さえも、Cuteだと思うオレは一体どうしちまったんだろうか…?
登ってこいと言って、登ってきた結祈がこけそうになって抱きとめた時、抱き心地がよかった。
こんなことを感じたのは初めてだ。
いろんな女を抱いてきたのに、こんなにも自分に添うと思ったなんて…。
そういや、オレが結祈ばっかりかまっているせいか、結祈はオレが遊んでいた女達から嫌がらせを受けていたみたいだった。
Shit!この時ほど、自分が今までしてきたことを後悔したことはねぇ…。
女達には、きっちり結祈に今後一切手を出すなと言った。
手を出したら、「どうなるかわかってんだろうなぁ」という脅し文句もつけて…。
結祈が青い顔をして、机に突っ伏してた時はマジで焦ったな…。
とっさに、いわゆるお姫様抱っこをして保健室に運んだ。
途中で暴れやがったが、心配してることを伝えるとおとなしくなりやがった。
初めて「ありがとう」と言われて、一瞬ビックリしたがスゲー嬉しかった。
この日から、お互いを名前で呼び合うようになったんだよな。
それにしても、コイツ軽すぎるぜ。
ちゃんと飯食ってんのか?
その日を境に、結祈との距離が近くなった気がした。
今までのように、オレのことをうっとおしそうに見ることがなくなった。
いつものように、休み時間になって結祈のところに行く。(Shit、なんで別々のクラスなんだよ!)
結祈の席に行くと、1枚の英語の答案用紙が…。
オレはそれを見て愕然とした。
(何だ!?この点数は…。ありえねぇ!!)
早速、その日の放課後に勉強会となった。
せっかくオレが付き合っててやるのに、アイツときたら、ボーっとよそ見してやがる!
頭を正面向けたら、痛いって文句言ってきやがった。
結祈が、よそ見してやがるのが悪いんだからな!
いつもこんな点を取ってるのか?って聞いたら、どうもそうらしい。
英語が苦手なんじゃ、オレの言ってることを理解できねぇからな。
やっぱ、理解してもらいてぇし…。
結祈に、英語ができるようになってもらわねぇとと言ったら、なんで?と首をかしげていた。
オレはたまらなくなって、結祈に好きだという意味を込めてキスしちまった。
好きだと言うのが恥ずかしくて、行動に出てしまった。
結祈のことだから、オレがキスの直前に言った言葉なんてわからないだろうな…。
唇を離した後、ため息が出た。
思わずやってしまったという意味と、これ以上のことがしたくなってしまったからだ。
それにしても、こんなに結祈のことが好きになっちまうなんてな…。
保健室で捕まえた時は、思いもしなかったぜ。
なあ、捕まったのはどっちだ?
(やっぱり、オレの方かもしれねぇな…)