お題
□逃がすつもりは始めっからない。
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私は大沢結祈。
私は今、人生初の物をもらっちゃいました〜!!
朝、学校に来たら、私の靴箱の中に手紙が入ってたんです!
もしかして…って手紙の中をそーっと見たら、予想通りラブレターだったんです。
差出人は、私の知らない男の子。
内容は、話したいことがあるから、放課後屋上に来てくださいのこと。
これって、やっぱりお決まりのアレですよね〜。
それにしても、周りでは私と政宗が付き合っていると思っている人が多いのに(私は決して付き合ってるつもりはない)、私にラブレターを渡すなんて、チャレンジャーだよなと思いつつ、気になるので放課後屋上に行ってみようと思った。
ふと視線を感じたので、周りをキョロキョロと確認したけど、誰も私を見ている人なんていなかった。
(気のせいかな?それにしても、政宗に見つかったらヤバイもんね…)
見つかりたくないなと思い、手紙をこそっとカバンの中にしまった。
相変わらず、休み時間のたびに政宗が私の所に来たけど、ラブレターのことは気付かれずにすんだ。
放課後になって、政宗が私の所に来て「一緒に帰ろうぜ」って言ってきたけど、先生に呼ばれているからと嘘をついて、今私は屋上に来ている。
屋上の扉を開けると、男の子が一人たたずんでいた。
(あの人みたいだな)
男の子が振り返って、私のことを見ると、にこりと笑顔を向けてきた。
「大沢さん、来てくれてんだね。よかった…。
君が、伊達くんと付き合っているっていう噂は知ってるけど、どうしても自分の気持ちを君に伝えたかったんだ…。
僕は大沢さんのことが好きだ。
できたら、僕と付き合ってくれたらうれしいんだけど…」
これよ!これ〜!
やっぱり告白ってこうじゃなくっちゃね!
政宗のは告白って言わないよね〜。
なんて思ってたら、突然後ろから声がした。
「オレの女に手ぇ出すなんて、いい度胸だよな」
低くて怒りが籠った声に、体がビクっと硬くなった。
振り返ると、政宗が青筋をたてて、男の子を睨んでいた。
「ま、ま、政宗!?」
バレた〜!!
バレてないと思ったのに〜!!
何で!?
あたふたとしていると、政宗が私の肩をグイっと抱き寄せた。
棒みたいに硬くなってた私の体は、政宗の方に傾いて腕の中に納まった。
「コイツは、オレのもんだ。テメェみてぇなのが手ぇ出したら、どうなるかわかってんだろうなァ!」
政宗の気迫に押されて、男の子はヒィと悲鳴を上げて、この場から去っていった。
お互いが何も話さないから、しばらく沈黙が続いた。
私はというと、政宗の腕の中にいるままだ。
かなり気まずい…。
「な、何で、政宗がここに?」
「一緒に帰ろうって言った時のアンタの様子がおかしかったし、朝、靴箱の所で手紙見てニヤついてやがったしな。
だから、後をつけてきた」
やっぱり朝、視線を感じたのは気のせいじゃなかったんだ。
ってことは、朝の時点でバレてたということか…。
「それにしても、このオレがいるのに、他の男の告白を受けにくるとはなァ…。
悪いことをしたKittyには、お仕置きしないとな」
チラッと横目で政宗の顔を見ると、悪いことを企んでいるような顔をしている。
逃がすつもりは始めっからない。
(アンタを最初に見つけた時から、逃がすつもりはねぇぜ)
(ひぇ〜!)