銀魂 SHORT

SWEET TIME
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SWEET TIME
(土方/恋人設定)



「おい!いったいどれだけ食うつもりなんだ!」

目の前にいる女は、先ほどからケーキやパフェなんかの甘いものを、反吐が出そうなほど食べている。

この女は、俺の彼女で結祈という。

まあ、コイツがやけ食いしているのには理由があるんだが…。


「そんなに食べてると、どっかの銀髪糖尿ヤローみたいになるぞ」

「いいの!やけ食いしてるんだから!
それに、私は銀ちゃんみたいに糖尿寸前じゃないもーん」

「何!?結祈!あのヤローのこと知ってるのか!?」

結祈が知らないと思って例えたんだが、まさか、あのヤローのことを知っているなんて思ってもみなかった。

「だって銀ちゃん、甘味友達なんだもん…。
トシが付き合ってくれるわけないから、いつも銀ちゃんと甘いもの食べに行ってるんだもん…」


知らなかった…。
あのヤローと甘いものを食べに行ってるなんて…。
これじゃ、結祈があのヤローの彼女でデートしてるみてえじゃないか。

「だって、トシ甘いもの嫌いでしょ?
それに、今やけ食いしてるのだってトシが悪いんだからね…」


結祈がやけ食いをしてる原因…。
事は、近藤さんがいつも通っているスナックに、酔っている近藤さんを迎えに行った時に起こった。

いつもベロンベロンに酔わされ、志村姉にボコボコにされた近藤さんを迎えに行くのが、最近の俺の日課になっている。
自分で何やってんだと思いつつ、スナックに向かった。

案の定、近藤さんは酔わされ、ボコボコにされ、歩けない状態になっていた。
またコレを、引きずって帰るのかとため息を漏らしつつ、近藤さんを連れて帰ろうとしたら、ホステスの一人が俺に絡んできやがった。

酒臭いので相当酔っているんだろう…。
絡まった腕を解こうにも、なかなか離れてくれない。
女に手を上げるわけにもいかなくて、どうしようか考えていると、あろうことかその女はキスしてきやがった。

運が悪いことに、その場にいつもは絶対にいない結祈がいて、キスされた現場を見られてしまった。

驚いて目を見開いて、こっちを見てた結祈は、俺が声をかけようとする前に走って店から出て行ってしまった。
俺は彼女を追いかけるべく、絡んでいた女の腕を振りほどき、走って追いかけた。




そして今に至るという訳だ…。



「おい、何であんなトコにいたんだ?結祈、ああいうところ嫌いだろ?」

「嫌いだよ!でも、お妙ちゃんに人が足りないから、今夜だけでいいからヘルプに入ってってお願いされたから…。
それに、トシがいつも近藤さんを迎えに行ってるお店だから、トシに会えるかもしれないって思ったから…。
それなのに、トシ……知らない女の人とキスしてるし……」

だんだん声が小さくなって、泣き出してしまった。

チクショー!!


……でもこれは俺が泣かしちまったんだよな…。

「あっ!あれはあの女がベロンベロンに酔っ払って絡んできやがっただけだ!気持ちなんか何もねえ!
俺がキスしてえと思うのは結祈だけだ!
…それに、妬いてるのは結祈だけじゃないんだぜ…。
さっき、万事屋のヤローと甘味を食べに行ってるって聞いた時、かなりムカついた」


彼女は俺の話を聞いて、うつむいてたのに顔をパッと上げた。

「さっきのところ、消毒してくれるか?」

「消毒って…?」

「さっき、女がキスしたところ…。結祈が消毒しろ」

意味がわかった途端、結祈の顔が真っ赤になった。

(こういう初心なところがかわいいんだよな…)

「は…恥ずかしいから、目閉じててくれる?」


そう言われて目を閉じる。
コイツ、ホント恥ずかしがりやだからな…。
目ぇ開けてたら、ぜってぇしてくれねぇし…。

ゆっくり二人の唇が重なったと思ったら、すぐに離れていった。


「これだけか?」

「えっ、だって自分からするのって恥ずかしいもん…」

「じゃあ、俺からだったら恥ずかしくねぇんだな?」

「えっ!それは…」

結祈が言葉を言い終える前に口を塞いだ。
さっきの軽く触れたものじゃなく、深く彼女を味わいつくすようなキスを…。



「甘ぇな…」

「ちょっ!…さっきまで…甘いもの食べてたんだから…当然じゃ…ない…」

息苦しかったのか、ハァハァと息をしながら話している。

「もう、万事屋のヤローと甘味を食べに行くなよ」

「どうして!別に銀ちゃんとは何もないよ!」

別に、あのヤローとの仲を疑って言ってるんじゃない…。

ただの嫉妬だ。


「俺とよりも、あのヤローとデートらしいことしてるのに腹が立つんだよ!
今度から、甘味が食べたくなったら俺を誘えばいい」

「でも、トシ?甘いもの苦手なのに大丈夫なの?」

「俺は甘いものは食べないが、結祈を食べさせてもらうさ」

そう言うと、結祈は顔を真っ赤にして「トシのバカー!!」と叫んだ。



お前っていう、最高の甘味があるのに、食べないってわけにはいかないしな…。



→あとがき
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