銀魂 SHORT

一日早いValentine's Day
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一日早いValentine's Day



屯所の廊下を歩いていたら、どことなく甘ったるい匂いがしてきた。


匂いがする元に行ってみると、台所で何かを作っているアイツの姿があった。


アイツというのは、突然異世界からやってきて、この屯所で保護されている大沢結祈のことだ。

最近はこの世界にも慣れたようで、女中の手伝いや、俺の仕事の手伝いなんかをしている。



「オイ、何作ってんだ?」

「あっ、土方さん。
今、チョコレートを溶かしているとこなんですよ」

「チョコだって?」

「はい。明日はバレンタインですし、普段お世話になっているみなさんに渡そうと思って」

「そういや明日だったな」



屯所は男所帯だし、女といっても女中のおばさんだけだ。
屯所の中では、バレンタインの甘ーい空気は皆無だ。

去年までは、バレンタインだからといって、ウキウキしている連中はいなかったが、今年は屯所に若い女(結祈)がいるせいか、朝の稽古でも身が入ってない隊士が数人いたような気がする。


(まったく…、もらえるって限ってないのによ)

朝の隊士たちの様子を思い出し、溜め息をついた。



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