ホスト篇スピンオフ
□【4】
6ページ/6ページ
「出るって、どっち?」
楽し気な声が手元を覗き込んでいる。息を吸い込むと花のような強い香りがした。広渡の匂いだ。俺の体から自由を奪う危険な匂い。
「んあッ……! ああぁああッ‼」
手は、すこし触れていただけだった。それでも俺は反射的に勃起し、射精までした。この体のせいだ。この男に、気が遠くなるくらい快楽を覚えこまされたせい。
「あっあ……」
精液を出し終えたはずなのに、再び性器から液体が滴りだした。
「ほら、やっぱり出るじゃん」
間の抜けた音が便器から上がる。そっと伺い見ると、俺の性器は奴の両手によって支えられ放尿していた。
「うう……」
死ね。殺してやる。吐きたい暴言は頭の中には浮かんでくるのに、いつからか、声にならなくなった。
続